2010年3月 「養蜂」が合法化 草の根運動したのはあの組合

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   長くて、寒い冬が過ぎると春がいっきにやってくるニューヨークのイーストコースト。街路樹、セントラルパークなどの公園、そして家々のプランターまで、名前のわかる花だけでも、タンポポ、水仙、チューリップ、スノードロップ、ムスカリ、パンジー、レンギョウ、リンゴ、アザレア、そして桜・・・と、いずれも満開で春爛漫といった趣です。

見つかると罰金2000ドルだった!

セントラルパークは花盛り
セントラルパークは花盛り

   この花を楽しむのは人間だけではありません。この花々から蜜を集めるミツバチにとってもNYはパラダイス。しかし、このミツバチ。人を刺すという理由で、ジュリアーニ市長の時代、1999年にチータ、グリズリーベア、そして、さそりと同じ危険動物100に入れられ、NYで養蜂は禁じられていました。みつかると罰金は、$2000!だったのです。

   それでも、こっそりと養蜂は続けられ、人に害を与えないビルの屋上などに、誰にも知られずひっそり設置され、移動はダッフルバッグに入れて行なわれていました。

   ニューヨークでは、養蜂家の秘密集会(?)を、クレイグズリスト(クラシファイドサイト)で呼びかけられたら、初回には、たった1週間で13人が集まり、現在、600人のメンバーが所属している「ゴッサムシティ蜂蜜共同組合」など、いくつかのグループが存在します。

花粉対策は蜂蜜で

アパートの屋上で作業中
アパートの屋上で作業中
隠れ養蜂家が一丸となって合法化を獲得
隠れ養蜂家が一丸となって合法化を獲得

   彼らが、植物の交配など自然のために養蜂は必要だと、草の根運動で、役所に働きかけ、保健所との公聴会などにも出席した結果。今年の3月に、とうとう養蜂が合法化されました。

   90年代から、ユニオンスクエアのグリーンマーケットで、蜂蜜を販売しているグラヴェスさんは、ハーレムやウエストビレッジ、アッパーイーストサイド、そして有名な某ホテルの屋上にも蜂箱を設置している一人。

「年を追うごとに、地元産蜂蜜は人気が出て、最近では、花粉症対策に買い求める人が増えてきました。」

そう、花粉は花粉で制しよう!と、アメリカでも、この季節花粉症に苦しむ人が多いので、地元産蜂蜜は注目されているのです。

   現在、ゴッサムシティ蜂蜜共同組合では、養蜂を始めるためのセミナー、集めた蜜の販売方法なども支援している。地元産野菜を食べよう。健康に気をつけた食生活を!とキャンペーンを張っているファーストレディのホワイトハウス野菜ガーデンにもミツバチの巣箱は設置され、スカーレット・ヨハンソンは結婚式の贈り物にミツバチの巣箱を、サミュエル・L・ジャクソンから贈られたとか。なんだかミツバチブームです。

   今年の取れたて蜂蜜が市場に出回るのは6月から7月。ミツバチを飼うのは、ちょっと怖いけれど、ニューヨークのお土産にメイドinニューヨークの蜂蜜を買って帰るのもいいかもね。

坂本真理


【プロフィル】
坂本真理(さかもと まり)
明治大学卒業後、在日米空軍横田基地で写真中隊に勤務。ロータリークラブ大学院奨学金で、アメリカ留学後、東京で「AERA」や「Hanako」など雑誌の写真の仕事をし、99年からニューヨークのアッパーウエストサイドに在住。

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