増える「新・二世帯」住宅のニーズ
「子育て二世帯住宅 i_co_i」が登場した背景には、「待機児童問題に貢献したい」(渡辺衛男・専務執行役員マーケティング本部長)という思いもある。子育てしながら働く女性が増える中で、保育園に入れない、いわゆる待機児童は2009年に2万5000人を超えた(厚生労働省調べ)。就業していても、「家事や育児のために仕事を続けられそうにない」という不安を抱えている女性は、子どもをもたない人を含め、少なくない。「同居が待機児童問題の解消の一助になる」(渡辺本部長)と考えている。
仕事のことだけではない。子どもの教育面でも、挨拶ができて礼儀正しくなるなどしつけや、年配者と自然に話ができたり、やさしく接することができたりといった利点がある。
一方、親世帯にとっても同居のメリットは大きい。旭化成ホームズのくらしノベーション研究所の調べでは、同居の理由の多くは「親の老後を考えたから」だった。たとえば同居でないと、運動会や食事会といったイベントのときにしか会えなかったものが、孫の成長を間近にしながら暮らしていけるのだから、親世帯にとっても毎日が楽しい。なにより、同居で笑いが増えるという。
同居スタイルにも変化があって、「かつては息子夫婦との同居が多かったのですが、最近では息子夫婦が約6割なものの、娘夫婦との同居が4割を占めるようになりました。とくに若い世代に目立ちます」(松本吉彦・主席研究員)という。価格も、これまでの二世帯「分離型」に比べると、「融合型」は安く抑えられる。
新しい二世住宅は、こうした「いまの暮らし」を反映している。