在住邦人が罹る心の病、「パリ症候群」って何だ?

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パリ症候群に罹らないためには

   また、主人公が日本のファッション誌のパリ特集を読んでいるシーンがあるが、確かにメディアが謳いあげる"憧れの花の都、パリ"、"素敵なパリジェンヌ"のイメージを抱いて来れば、犬の糞やごみだらけの路上、にこりともしないブティックの店員や歩きたばこで携帯電話に向かって毒づくパリジェンヌたちを目の当たりにして、ショックも受けるだろう。同時上映されたパリ症候群をテーマに、在仏日本人のインタビューを中心に構成された、畑明広監督のドキュメンタリー映画のタイトルは、その名も『花の都』であった。

   もちろん、パリに住む日本人が皆、パリ症候群に罹るわけではないし、置かれた環境、元々の性格や気質など、複数の要因が重なって、はじめて発症するのだろう。ただ、意地悪なパリの人間、日本のメディアが謡う"花"の面ばかりではないパリの街自体が、この症候群を引き起こす要因であることは確かだろう、何しろ、パリ症候群なのだから。

   さて、その予防法といえば、パリに長期滞在をする予定の人は"パリの人間は冷たい"、"パリの街は汚い"、と肝に銘じて来るべし。それで、運よく親切なパリジャンと知り合えば、得した気分になるし、美しい街並みを見て、思ったほど汚くないや、と感じれば、気分も明るくなろう。また、在仏日本人の友人を作り、日本語で思う存分、フランス人の悪口を言う機会を持つ。ガス抜きの場所があれば、意地悪なパリの人間とも何とか付き合っていけるようになり、そのうち、パリジャン(・パリジェンヌ)の中には嫌なヤツもいればいい人もいる、という当り前のことに気づくようになるはずだ。<モノウォッチ

江草由香


【プロフィル】
江草由香(えぐさ ゆか)
フリー・編集ライター。96年からパリ在住。ライターとして日本のメディアに寄稿しながら、パリ発日本語フリーペーパー『ビズ』http://www.bisoupfj.comの編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。趣味は映画観賞。

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