ネットワークゲーム依存症に関する赤裸々な実態を取り上げたノンフィクション作品「ネトゲ廃人」「僕の見たネトゲ廃神」に続く、ネトゲシリーズの第3弾の「ネトゲ廃女」が2010年3月19日、リーダーズノート社から発売された。
「夫と離婚してもゲームがやめられない」
ネットワークゲームにはまってしまい実生活を破綻させている人は、ネットスラングで「ネトゲ廃人」などと呼ばれるが、本書の「ネトゲ廃女」は、その女性版。
ゲームから目を離せないと「トイレのドアを開けたまま用を足す」37歳の主婦、「足の踏み場もないほどのゴミ屋敷」で朝から夜までゲーム三昧の45歳の女性、「25歳で結婚してネトゲに夢中になり、夫と離婚してもゲームがやめられない」という看護士などの、生活の壊れていくさまもリアルに記述されている。
「このままでは堕ちるところまで堕ちるとわかっていたけれど、それでも、やめられなかった」という告白も印象的。
ほんの遊びではじめたネットゲームがいつしか、本気になってしまい……。
現実の生活や恋愛の不満が・・・
もともとゲームに興味がなかった主婦が、ゲームにのめり込んでいく背景には、現実の生活や恋愛の不満もあるようだ。
「ゲームの中では、甘いキスやお姫様だっこもしてもらえる」
「主婦は、普段ため込んで抑えている分、なおさら歯止めが効かなくなっちゃう」
「ネトゲなら、世間の肩書とか立場とか年齢なんて乗り越えて仲良くなれる」
「本気でゲームをするなら、子どもは産めないし育てられないと思いますね」
といったさまざまな女性ゲーマーの本音が紹介されており、過度にゲームに熱中する女性の心理を解明することにも役立つ一冊となっている。
著者の石川結貴さんは、20年近く主婦を取材してきた作家で、「ブレイク・ワイフ」「モンスターマザー」「暴走育児」など、現代社会において壊れていく主婦や母親をテーマにした著作が多い。
韓国ではつい最近、ネトゲに熱中していた夫婦が生後3か月の娘を餓死させた事件が報じられたばかりで、著者は「パソコン版、ケータイ版など豊富な無料ゲームが大流行の兆しを見せる日本でも、いずれ同じような事態が起きる可能性がないとはいいきれません」と危惧(きぐ)している。<モノウォッチ>