聴こえてくるのは魂の音・・・  C・ランディ独占インタビュー

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「負の部分も含めて、アメリカが好き」

   すべてアナログの8ChのDATでレコーディングしたという。打ち込みもなければプログラムもしない、「あれこれ弄繰り回して」作ったという。すべて彼女のオリジナルなのだが、中に1曲だけカバー曲がある。「アメリカ、ザ・ビューティフル」という、アメリカ人に言わせると第二の国歌のような曲。

「『アメリカ、ザ・ビューティフル』の前に『ムーヴ・オン』という曲が入っているの。この曲は、なんでアメリカっていう国は相も変わらずこうなの、素晴らしい国のはずなのに苦しんでいる人がいて、なんで私はこんな思いをしなければいけないの、なんで、なんでと歌っているの。でもアメリカが嫌いなんじゃない。そういう意味でこの歌の後ろでバランスをとるように『アメリカ、ザ・ビューティフル』を入れているの。負の部分も含めて私はアメリカが好きだと言うことをメッセージしたかったの」

   もう1曲気になる曲があった。5曲目の「レクイエム・フォー・キャスリン」。

「筋萎縮性の難病(ALS)で亡くなった私の友人の名前よ。お葬式の時、私は離れたところにいて参加できなかったのだけれど、彼女もミュージシャンだったし、彼女の葬式のまさにその時間にスタジオで、心の趣くまま、浮かんでくるままに弾いたのが、この曲なの。まったくのフリーフォームで、彼女のお葬式に届けという思いで演った曲。その時にはこのアルバムに入れようなんて考えてもいなかったけれど」

   最後に、たった1人で作ったアルバムだけれど、多くの著名なジャズメンと一緒に仕事をしてきた彼女の心に残るジャズメンは誰か聞いてみた。

「ロバート・クラスパー! 才能があって最高に面白い人! ビクター・ルイスも大好き。いろんな大好きな人を思い描きながらそれぞれのパートを演ったの。ベティー・スミス、ピアノならハービー・ハンコック。なんとか彼のように弾けないかしらと挑戦したわ。ヴォーカリストではベティー・カーター、サラ・ボーン、それにジャン・コルトレーン、マイルス・デイビスは忘れてはならない人。彼らからインスパイアーされ、彼らをリスペクトしてできた音なの!!」

   そうなのだ! そういったJAZZの巨人たちが、この静かな1枚のCDに隠れ潜んでいるのだ!! カーメンはその巨人たちを、たおやかに引き出しているような気がした。

加藤 晋


[ソラメンテ 収録曲]
1. アイ・ノウ・ホワイ・ザ・ケイジド・バード・シングス
2. ファイア・イン・ザ・リズム
3. アウト・クラウド PART1
4. レイ・ロウ
5. レクイエム・フォー・キャスリン
6. ショウ・ミー・ア・サイン
7. ホエン・ライツ・アー・ロウ
8. フリー・アズ・ア・チャイルド
9. ムーヴ・オン
10. アメリカ、ザ・ビューティフル
11. ウィズアウト・ユア・ラヴ
12. アウト・クラウド PART2

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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