「バイク乗ってるときも、戦車から撃たれる気がする」
例えば、トイレに行く時間も惜しく、空き缶で小尿を済ます「ボトラー」。「ファイナルファンタジー11」で最強レベルのキャラクターを育成した、40代無職の男性がそうだという。4畳半の部屋で、黒く変色した布団、高く積まれた衣服とピザの箱、ゴキブリ駆除剤とネズミ捕り機と生活をともにしている。「リアルは完全に崩壊していた」と西村さんは表現する。
他にも、10万円以上で取り引きされているアイテムを多く持ち、それらをさばくことで「がっぽり儲けた」という「美人廃神」の20歳女性や、戦争ゲームを600時間以上プレーし世界ランキングを保持、リアルでもゲームと混同し
「家の窓から撃たれるんじゃないかって思う」
「バイク乗ってるときも、戦車から撃たれる気がする」
という男性など、数々の「廃神」の姿が赤裸々に綴られている。
プロローグで西村さんは、「人生棄てられますか?」と読者に問いかけている。だが、苦しみや孤独を抱えた「廃神」、あるいはリアルと両立させている「立派な廃神」に会った後の最終章では「人生ってそう捨てたもんじゃないかもしれない」。17歳が切り取った「現代」とはどのようなものだったのか。注目の一冊だ。<モノウォッチ>