2009年12月17日に発売された作家・大江健三郎さんの2年ぶりとなる小説「水死」(講談社)が話題になっている。
「晩年の仕事の中でも最終の小説」ともいわれるこの長編作品で大江さんは、自身を投影した作家・長江古義人を通じて、「父」の死の真相と自らの「暗部」に迫っている。
主な舞台となる「四国の森の中の村」も大江さんのファンにはなじみ深いが、「父、水死」の背景にある昭和前半のニッポン人精神をあぶりだしていく迫力は筆舌に尽くしがたい。
壮絶なクライマックスでは誰もが胸を打つ。
定価2100円。