<インタビュー>三井農林 紅茶鑑定士・三浦宣安さん
美味い紅茶は自らの手で
プロがすすめるツウな技

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    日本で最も伝統のある紅茶メーカー三井農林から、「J-CASTニュースショップ」で販売するため『手摘み紅茶』を特別に用意してもらった。ダージリン、アッサム、ウバの3種類を揃えた『手摘み紅茶』の生みの親は、紅茶鑑定一筋34年のベテラン、三浦宣安さんだ。今回は、世界中の茶園を熟知する三浦さんに、茶葉の買い付けや家庭での味わい方、おすすめブレンドについて話を聞いた。

「大学の講義室」でオークション!?

『手摘み紅茶』の生みの親、三浦宣安さん
『手摘み紅茶』の生みの親、三浦宣安さん

Q 紅茶はどんなルートで買い付けをするのか?
 紅茶は現物取引。世界中の「ティーセンター」と呼ばれる紅茶の市場から、静岡の藤枝工場に送られてくるサンプルは1種が10~20gで、毎週500~1000種類あります。その中から味や香り、茶葉の外観(見た目)、抽出したときの水色(すいしょく)を確かめるカップテストを行い、どれを購入するか現地のシッパー(買い付け、船積み契約会社)に通達。シッパーは、指定した茶葉をオークションで競り落とすのです。

Q オークションは、築地市場みたいな場所で行われる?
 いえ。もっと静かですよ(笑)。大学の講義室みたいな部屋で、100人は入れるでしょうね。中央にブローカーという競り人が、また、その脇に書記がいます。1分間に3~6品のペースで、値段が決まっていく。それは、ものすごいスピードです。紅茶の価格は、味や香りといった品質で決まりますが、産地、茶園、生産時期により品質は変わります。ダージリン紅茶は希少なため、どうしても高価になる。最も味が良いとされるセカンドフラッシュで、同グレード(等級)のほかの紅茶と比べると100倍もの値になることもあります。ちょっと見ただけでは分からなくても、飲み比べたらその違いは歴然ですね。


Q 良い紅茶はどこが違う?
 むずかしい質問ですね(笑)。まあ、茶葉自体の良し悪しで言えば、「渋み」でしょうか。渋みには、良い渋みと悪い渋みがあるんです。「良い渋み」は、最初にぐっと出て、後に残らない。一方、「悪い渋み」は後に残り、えぐみや雑味として感じられます。日本は紅茶の香りと味を重視するので、良いものばかりが集まっていると思いますが、海外では、色と渋みを強調させた安価なものが多く出回っているようです。「紅茶のシャンパン」として珍重されるインドのダージリンは世界的に特に人気が高く、「セイロン(スリランカ)・ダージリン」という不思議な名前が付いている商品を海外で見かけたこともあります。


Q インドの茶園はどんなところなのか?
 インド紅茶の主な生産者が集まるカルカッタには年に1度くらい行きます。ここではダージリンやアッサムの取り引きが行われています。ダージリンは、84ほどの茶園でしか作られておらず、また茶園規模も小さくインドで生産される紅茶のわずか1%と希少なため、その多くが輸出用として高値で取り引きされている。つまり、インドの人が日常に飲む紅茶ではないんですね。
 一方、世界で最も多く生産されているアッサムは、インド国内の消費量もダントツで多い。生産している茶園は500以上あり、その多くは国内向けのため管理が不徹底で、安全が確認できない、また品質にもバラつきがあり、なかなか希望通りの茶葉に出合えない。そこで、安全の確認ができる特定の茶園から買い付けしており品質数量の確保をしています。
 茶園は市街地から遠いんですが、敷地は広い。当然、ゲストハウスも用意されていて、近くにはゴルフ場や競馬場がある場合も多いですね。もともとイギリス人が始めたという歴史的背景もあり、社交場がセットになっているんです。もちろんティーパーティも催されます。ダージリンの茶園に行ったときには、茶摘みをするネパール人が華やかな民族衣装に身を包み、歓迎の舞を踊ってくれました。

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