世界3大嫌いな食べ物は何ですか?
食べられるけれど、食べても幸せを感じない食べ物。私は、ぬたっとした食感のサトイモ、ゼリー、そして泡が嫌いなのです。
カプチーノは好きだけれど、あの泡が苦手で、東京時代は、スプーンですくって取り除いて飲んでいました。おずおず「すみません。泡なしカプチーノお願いします。」と、オーダーして「それはカプチーノとは呼びません!」とレクチャーされた事も多々。
何年も前に、NYのブルックリンにオープンした「ギンミ!コーヒー」。ここの評判を聞き、わざわざ飲みに行って口にしたカプチーノから受けた衝撃は、味はさることながら、その泡でした。
カプチーノのスカスカの泡はどこから?
アメリカで、ウエットフォームと呼ばれる泡は、空気の含有量を控え、シルキーでとても滑らか、まるでクリームのようです。そして、驚くほど甘いのです。
カプチーノには、砂糖を入れない私は、この時、ミルクの甘さがどこからくるのかわからず戸惑いました。ミルクをスティーミング(エスプレッソマシンについているノズルから出る蒸気で温める)する時、温度を60~70度内に保つと、甘さが出てくるそう。
では、今まで飲んでいたカプチーノのスカスカの泡は、どこから?
バリスタに聞いてみると、一度、泡立てたミルクは、温度により化学変化を起こしていますから、もったいないと思って、次の人用にミルクを継ぎ足して泡立てると、先のミルクが分離して、スカスカの泡ができてしまうとのことでした。
2001年ごろから、シアトルに追いつけ、追い越せで、NY市内に、味にこだわるエスプレッソカフェができ始めました。
ニューヨーカーのすごいところは、やる時にはやる!それも徹底してやる!
上質の生豆を探して、入手。それを焙煎する焙煎機、焙煎人、そして、そのコーヒー豆を使ってコーヒーを淹れるバリスタのレベルアップが、日を追うごとに進み、今ではシアトルを追い越してしまいました。
食の関係者と話すと必ず出るコメントは「NYのいい面は、頑張って丁寧に作った物を、正当に評価して、感謝してくれる舌の肥えたお客さんがいること。」
確かに生産者の自己満足の一方通行ではビジネスは成り立ちませんから、NYは、好奇心旺盛で食べるの大好きなニューヨーカーがいるうってつけの場所だったのですね。
1台1万ドルのコーヒー抽出機導入
コーヒー専門カフェには食べ物はスイーツだけ。コーヒーの香りを妨げるメニューはあり ません(写真はカフェグランピー)
おすすめのNYカフェは、銀行員だったコーヒー好きのオーナー夫妻が、どこに飲みに行ってもおいしくない。ならば、自分達でカフェを作ろうと開いた「カフェグランピー」 店名も、「今日もおいしくなかったねぇ。」と、しかめっ面(グランピー)をしていた当時の反面教師で名づけたそう。
当店は、1台1万ドルほどするコーヒー抽出機クローバー社製のバキュームコーヒーマシンを東海岸で初めて導入。このマシンは、フレンチプレスの原理を応用して、コーヒーを1分で抽出するすぐれもの。いい豆だと、そのおいしさを余すところなく味わえます。
バリスタのレベルとコーヒーの質へのこだわりで有名な老舗「ナインス・ストリート・エスプレッソ」。
当店のトレーニングは、挽いたエスプレッソ豆を詰めるタンピング時に、毎回、同じ圧力を加えられるよう、体重計を使って練習をするなど徹底しています。
シロップを使ったフレーバーコーヒーや、超大型サイズ、ドリップコーヒーもなしと超ストイック。エスプレッソ以外は、全てフレンチプレスで淹れています。
スターバックスコーヒーが、NY市内に170店舗以上あった年に、それも近所に2軒もある場所でカフェをひらくなんて狂気の沙汰だと、周りから反対されたにもかかわらず、おいしい豆を焙煎するロースターを、6か月もかけて探し出し、カフェを開店した「ジョー」は、すでに、市内に5店舗を展開中。
テイクアウトのドリップコーヒーも、オーダーを受けてから挽いて、紙コップにドリップする「アブラッソ」のオーナーマコーミックさんは、西海岸からやってきました。と、NYのおすすめカフェは、実は、まだまだあるのです。
こうして、現在、NYのコーヒーは、かなりの高レベルで進化中。
次回は、アメリカのコーヒー界の第3の波を引き起こした男と共にNYに進出したロースター&カフェを書きますね。お楽しみに。
坂本真理