ニコニコ動画を作ったのは天才技術者集団だった――。ITジャーナリストの佐々木俊尚氏が、その誕生までの秘話を小説風につづった文庫本をこのほど出版した。題名は、「ニコニコ動画が未来を作る ドワンゴ物語」(アスキー・メディアワークス刊)だ。
「それおもしろい!絶対それ!」。ニコ動の一風変わった名前を生んだのは、ドワンゴの川上量生会長が「表面だけ取り繕ったようなふざけた名前」と漏らしたのがきっかけ。2ちゃんねる元管理人のひろゆきさんが、面白がったことから、そのサービスは2006年12月12日に静かにスタートした。
コメントが画面上で爆発するユニークなこのサービスは、その後、人気も爆発。なかなか黒字化しないものの、ニコニコ生放送などネットならではの新しい試みを続けている。この本では、その誕生までの舞台裏をつづっている。
ネット上では伝説とされるゲームクリエイター集団「Bio_100%」に、その起源はさかのぼる。そして、その代表だった外国人のような森栄樹ドワンゴ元副社長と当時ソフト卸会社にいた大学生のような川上会長が出会い、ドワンゴを設立。技術者が段ボール上でごろ寝するような風変わりな会社だったが、音大生を起用したケータイの着メロなど突飛なアイデアでIT業界に旋風を巻き起こしていく。着メロ事業が頓挫する中で、起死回生に打って出るところは見ものだ。
著者の佐々木氏は、取材から執筆までに1年をかけ、取材先は延べ30人にも上るという。定価は、900円。