日本でも一時期、ブームになったアルガンオイル。フランスでは、ここ数年の自然派コスメブームにのって、ストレスによる肌荒れ、皮膚アレルギーに悩む働くパリジェンヌたちを中心に、愛用者がじわじわと増え続けている。
肌の老化防止や、美肌効果あり、の貴重なオイル
アルガンオイルはモロッコ南西部の限られた地域のみに生育するアルガンの木の実から採取される貴重なオイルだ。調理にも使われるが、肌の老化防止や美肌効果のあるビタミンEが、オリーブオイルの4倍ほど含まれていると言われ、スキンケア製品としても注目されている。以前は、自然派、オーガニック製品にこだわる限られた人々の間で愛用されている観があったが、最近では、アルガンオイルに他の植物の精油を加えたり、クリームタイプにしたり、とコスメ仕様になった製品が増えて、人気が出て来たようだ。
アルガンオイルをベースにしたオーガニックブランド「カエリーヌ(Kaeline)」の公式ネットショップを運営している、フレンチ・コード代表の長谷川たかこさんは、「フランスでは、ここ2年ほどで、自然派、オーガニックのコスメの売れ行きが25~30%ほど伸びています。その流れにのって、特に肌にトラブルを抱えている女性たちの中にアルガンオイルの愛用者が増えてきたようです。吹き出物、ニキビ、シミにはたいへん効果的ですから」。ストレスが原因の肌荒れ、さらに夏のヴァカンスで日焼けした肌のケアにも効果あり、と都会で働くパリジェンヌたちにも、評判がよく、「ニキビ跡に悩み、皮膚科に通ったが、処方された薬は効果がなく、「カエリーヌ」のセラム(美溶液)を塗ったところ、2週間で、驚くほど跡が薄くなった」という利用者の声も寄せられたらしい。
アルガンの実を採取するのはヤギ?
さて、このアルガンオイル、ヤギがアルガンの木に登って実を取り、果肉と種の一部を食べるが、その後に残った、種のコアな部分を人間が集め、そこからオイルを抽出するという方法が伝統的に行われてきたのだという。ヤギが木に登って・・・、とは確かに牧歌的で、自然の営みというイメージがあるが、ヤギの食べ残しから作るオイルなんて衛生面は心配ないのだろうか?
案の定、長谷川さんによると、ヤギが舐めた種にはバクテリアがついているため、オイルが3~4か月後には変質してしまうみたい。ちなみに、「カエリーヌ」では人が木から直接採取した実から、機械を使ってオイルを抽出するので、1年~1年半は品質がよい状態で保存できるそうだ。なるほど、アルガンオイルの製品選びのポイントは採取したのがヤギなのか人間なのか、という点?そんなことはパッケージには表示されていないだろうけど・・・。
この記事を書くにあたって、私もバラのエッセンシャル・オイル入りのアルガンオイルのセラム(美溶液)を試してみた。オイルというとべたべたしたイメージがあったが、さらっとしており、2週間ほど毎朝、顔に塗ったところ、肌がすべすべして、化粧のりがよくなった。シミに関しても、若干、薄くなった気がする。(写真提供 フレンチ・コード)
江草由香