「ジミヘン」らへのオマージュ作品  ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ

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ロドリーゴ・イ・ガブリエーラ
『11:11/格闘弦』
初回生産限定盤
SICP-2339~SICP-2340 3150円
通常盤
SICP-2341 2520円
9月2日発売
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル


   前作(LIVEは除く)『激情ギターラ』(SICP-1771)も紹介したが、このロドリーゴ・イ・ガブリエーラというとてつもないギター・デュオは、紹介しないわけにいかない。前回のこの欄で「半世紀ぶりに衝撃的な音楽との出合い」と書いたが、決して大袈裟ではなく未だにそう思っていて、彼等の音以上に衝撃を受けた音は、その後も存在しない。あるとすれば、彼等のここで紹介する新作ということになる。

   『激情ギターラ』にしても『格闘弦』にしても、邦題はどんなものか? という感じもあるが、あながち悪くない。結構内容を的確に言い表しているような気もする(レコード時代の洋楽タイトルを思い出してちょっと笑いがこみ上げてきた)。

   さて、新作だが原題は『11:11』であり、2人が尊崇して止まない11人のアーティストへのリスペクトアルバムになっている。しかもその11人へのオマージュを作品として仕上げている。11人は順にカルロス・サンタナ、ジミ・ヘンドリクス、ル・トリオ・ジュブラン、アル・ディ・メオラ、ミシェル・カミーロ、パコ・デ・ルシア、シャクティ、アストル・ピアソラ、ホルヘ・レジェス、ダイムバッグ・ダレル、ピンク・フロイドとなっている(知らない名前もあるでしょうが、興味があればそれぞれに調べてください)。

   そして作品タイトルを見るとまた、この2人の精神の深さというか、広がりに驚く。彼等の音を支えるファクターに『宗教・哲学』の2×2文字があるのは明らかだ。いまどきそうした方向性に向かうアーティストは限りなく少ない。ただの興味であったとしても聴き手としては受け止め入り込まざるを得ない。

   テクニカルな音という意味では、2人だけの鋭意、という範疇から脱してカホーンやウード、ダルブッカ、ピアノなどの音も取り込んでより重層的な音のヴィジョンを聴かせてくれる。エレキギター・サウンドも登場する(エレキではなくエフェクト処理かも?)。

   それにしても。ロドリーゴ・イ・ガブリエーラというギター・デュオは、ギターの可能性を押し広げるばかりでなく、その音が鳴り響く世界としての精神も広げ、解放してくれるかのようだ。またしばらく耳を離せない。

   ちなみに初回限定盤にはDVDが付いてくる。ライヴ映像&本人による演奏解説などが収録されていて、貴重。ふと気になったのだが、ジャケットの「11:11」の文字から透けて見える映像はなんなのだろう? 分かった人は教えてください。

加藤 晋

【11:11/格闘弦  収録曲】
1. Hanuman
2. Buster Voodoo
3. Triveni
4. Logos
5. Santo Domingo
6. Master Maqui
7. Savitri
8. Hora Zero
9. Chac Mool
10. Atman
11. 11:11



◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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