今、韓国のお酒「マッコリ」の支持が広がっている。しかも、男性よりもむしろ女性のほうが好んでマッコリを求め、専門店などへやってくるというのだ。どんなところが受けているのだろうか。
バリエーション豊富 「梨マッコリ」や「黒豆マッコリ」も
「マッコリ」とは、日本でいうと「どぶろく」にあたる韓国の大衆酒。原料は米や小麦が多く、酵母によるアルコール発酵に、乳酸菌発酵を伴う。アルコール度数は焼酎やスピリッツなどと比べると低く、甘みと酸味があるお酒だ。
日本での消費も増えている。韓国関税庁が発表した09年上半期のマッコリ輸出量は2635トンで、前年同期比は16%増。10年前の99年上半期(364トン)に比べ約7倍増えている。意外なのは、全体量の約9割に当たる、2336トンもの輸出先が「日本」だということ。
韓国マッコリの輸入・販売を行っているサイト「e-マッコリ」を運営しているビーマックスの代表・小澤誠之さんは、マッコリの「リピート率」の高さに驚く。
「一番の理由は飲みやすさ。韓国料理ブームに乗って興味を持つ人が増え、そのまろやかさと料理との相性の良さから、一度飲んでファンになる女性が増えています」
バリエーションも豊富だ。現在韓国では色々なマッコリが製造され「ブーム」を呼んでいるという。その一部が日本に輸入され、支持を広げているそう。
「特に受けているのが梨マッコリ。よりフルーティーな味わいが特長です。健康志向の方には黒豆マッコリも受けています」(小澤さん)
そのほか、ぶどうマッコリやみかんマッコリなども好調とのことだ。
カップルや女性同士で「生マッコリ」
日本で醸造されているマッコリもある。東京・新大久保にあるソウル酒造「韓さん生マッコリ」がそれだ。併設されているのはバー「生マッコリ家」。このお店、ほとんどが若い女性からの予約で、最近になってその数も増えているという。
「平日でも予約で一杯になることも。カップルも多いですが目立つのは女性同士の来店。連れ立って『生マッコリ』を飲みに来る人が増えていますね」
と話すのはソウル酒造代表の韓吉洙(ハン・ギルス)さん。ここでも支持の理由は「飲みやすさ」だ。通常は加熱・殺菌処理されるマッコリだが、「生」マッコリは発酵中のもので、乳酸菌が生きたまま飲めるという日本では希少なもの。微炭酸で、深みのある味わいだ。それゆえか、ソウル酒造には地方から訪ねてくるほどの「生マッコリファン」もいるという。
さらに、日本酒の蔵元で作られたマッコリもある。春玉の白(末廣酒造)、とらじの唄(中埜酒造)といった銘柄をご存じの方もいるのではないだろうか。09年2月に発売された「東京マッコリ」もそのひとつ。これをプロデュースした「焼肉天国ドットコム」を運営するビーツーワイの代表・朴亨柱(パク・ヒョンジュ)さんは日本人にマッコリが受け入れられる理由について、こう話している。
「他のアジア料理と違い、キムチの辛さが日本人に『そのまま』受け入れられたのと同じで、マッコリも日本人と相性の良いお酒だったのでは。韓国料理といえばマッコリ、というふうに今後も広がっていくと良いですね」
ホリデー茂山