ロッテリアというとどうも「えびバーガー」のイメージが強く、「パティ」へのこだわりは正直言ってあまり感じていなかったのだが、2009年7月16日に全国のロッテリアで発売された「絶妙ハンバーガー」はちょっと、いや、かなり違う。肉もレタスもトマトも玉ねぎも、まさに「絶妙」なのだ。
香ばしい匂いはステーキハウスのよう
「絶妙~」のふれ込みは、「絶妙なバランスのおいしさを実現した王道バーガー」。肉の種類、部位にこだわり12ミリ(通常は2、3ミリ)で「粗挽き」されたパティがジューシー。またレタス、トマト、玉ねぎといった野菜も、全体のベストバランスを重視し、素材選びから調理の際にも細部までこだわったハンバーガーだとしている。さらに、おいしいと感じなければ「その場で返金する」というキャンペーンも。ロッテリアの「本気度」はかなりのものとみていい。
百聞は「一食」にしかず、ということで、食べてみることにした。「絶妙ハンバーガーをひとつ」。注文するとほどなく、ステーキハウスのようなお肉を焼く香ばしい匂いがただよう。いままでのファストフード店にはなかった香りかも。出てきた「絶妙ハンバーガー」はレタスの葉先も立っており、トマトの色鮮やかさが野菜のフレッシュさを示している。パティも肉厚で食欲をそそる。
いざ「実食」。一口ほおばると、まず存在感を示すのがパティ。粗挽きだからこそちゃんと「お肉だ!」と分かる食べごたえと、じわっと広がっていくうま味がうれしい。ピリッと効いたスパイスは、フランス料理で使用される「ディジョンマスタード」だというから高級感さえ感じられる。
各店舗に1人「三ツ星シェフ」を育成
「素直に『おいしい!』と思ってもらえるハンバーガーを目指して、何百通りも試作品をつくりました。おかげで体重が…」
と笑うのはロッテリア商品本部の湯浅智之さん。この「絶妙~」のため、ロッテリアの商品総合プロデューサーで2度の渡仏経験を持つ仏料理シェフ・嶋原博さんと、食材を厳選するのはもちろん、工場の工程から現場での調理法までを徹底的に見直したという。
もう一口かじると、いままでハンバーガーで味わったことのないようなレタスのシャキシャキ感がたまらない。それでいて、玉ねぎやトマトの味もしっかり。
「レタスの新鮮さを出せるのは、機械的に切らず『手割』で使用しているから。玉ねぎもお店で皮からむいてスライスしていますし、トマトも崩れないものを厳選しました」(湯浅さん)
こうやって「おいしさ」に「ひと手間」かけてくれるのは消費者にとってはうれしいが、つくるほうは大変そうだ。
「だからこそ『現場力』の向上が大切。各店舗に1人、嶋原さんの味を再現できる『三ツ星シェフ』を育ててます。こうした徹底的なトレーニングはロッテリアの規模だからできることなんです」(同)
「人の育成」という原点に立ち返り、愚直に「おいしさ」を追求していく様子。実際、同行したカメラマンもあっという間に平らげてしまった。もちろん記者も。
「『絶妙~』の繊細な味、食感、バランスは日本人の舌に一番合うと自負しています。『返金』キャンペーンは、お客様にこの品質を約束するマニフェストのようなもの。本当に『ウソをつかない品』ができたので、ぜひ『絶妙~』を味わい、『本物のハンバーガー食べたな!!』と思っていただきたいですね」
湯浅さんはそう語った。
ロッテリアでは、07年に登場した「絶品チーズバーガー」を2300万食売り上げているが、「絶妙ハンバーガー」はそれを超えるかもしれない。
ホリデー茂山