パソコン使って自在に刺繍  21世紀ミシン「クアトロ」の実力

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   まずはこのミシンの姿を見ていただきたい。何かとんでもないことができそうだ。 僕が実は裁縫が得意だと言うと驚かれるけれど、そもそも仕事を服飾から始めたくらいで、ミシンは得意だ。このミシンのカタログを見せてもらったのもそんな話がきっかけだったのかもしれない。ちなみに日本では未発売。「クアトロ」という名の世界最高峰と言って過言ではないブラザー工業の家庭用ミシンだ。アメリカを中心にすでに発売している地域ではヘビーユーザーを中心に人気で、とても好調だそうだ。今度、実際にこれを見せてもらうことになっていて、実はとても楽しみにしている。今回はこういう商品もあると知ってほしくて、ブラザー工業の方にお願いして画像を用意していただいた。

アメリカなどで発売 日本展開も「検討中」

機能もさることながら外観もイカしている(写真上)、ご覧のように液晶画面はビッグサイズだ(写真下)
機能もさることながら外観もイカしている(写真上)、ご覧のように液晶画面はビッグサイズだ(写真下)

   とにかく、大きな液晶画面に驚く。ここはシャープ製だそうだ。タッチパネルになっていて、縫い方などすべてここで指定すればその通りに縫ってくれる。ここに映し出した通りの刺しゅうを作ってくれる。布を固定すれば後は機械がやってくれる。

   ブラザーには刺しゅう編集ソフトがあってパソコンで作りこめば、自分で描いた絵も刺しゅうにできる。パソコンとはUSBでつなぐことができる。USBメモリでデータを取り込むこともできる。パソコン経由でこの画面のためのスクリーンセーバーを用意することも、ブラザー工業のサイトでアップデートすることもできる。ハイエンドという前に、まさに今の時代のミシンなのだ。

   さらに使いやすさの追究がものすごい。ミシンは構造的に針のすぐ近くをのぞき込みにくい。しかしこのミシンは針の動くすぐ脇にカメラが取り付けられていて、針の周囲がまさに手に取るように見える。しかも手元のための照明本体の下についている。この照明も凝っていて、色再現性の高い、高演色LEDを使用しているそうだ。美術品を見るように自分の刺しゅうが生まれてくるのを見られるわけだ。あったらいいなと思うことがすべてある。まさに至れり尽くせりなのだ。縫製や刺しゅうだけでなく、厚手のキルト作りや工芸品を作るのにも対応している。おそろしいまでのハイエンド機、しかも家庭用なのだ。

   現在、日本については市場性について検討中なのだそうだ。長さ78センチという大型の超高性能ミシンはアメリカと同じように市場判断はできないだろう。日本は確かにどの分野でもいわゆる「軽薄短小」が商品に求められる傾向があるし、同時に高性能化も求められることが多いし、多くのメーカーがそれを実現するのも日本だ。

   しかし、大きいからこそできることもある。実際に触ってみればきっとこのクワトロは使い勝手がとてもいいと思う。実は作業スペースの広さというのはミシンの最も大きな魅力のはず。その上で高性能。ミシンで作業するのが好きな人には夢のミシンに違いない。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィル

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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