バカンス大国フランスでは、サラリーマンでも2~3週間の夏休みを取得するのが、当たり前だ。しかし、この不況で、バカンス費用も節約を余儀なくされ、多くの人が、お金を使わずに長期旅行を楽しむための方法を模索している。
自炊機能付きアパートからキャンプ場まで
フランス人のバカンスといえば、周遊旅行よりも、一か所に留まって、のんびりする滞在型が主流で、キッチン付きの貸しアパートや貸別荘を利用する人が最近とみに増えているという。ファミリー向け貸しアパートの専門会社、パリセレクトアパート社の担当者によると「子どもの多い家族、親子3代で利用するお客様の場合、宿泊費がホテルより安くなります。また、キッチンには冷蔵庫、電子レンジ、鍋、フライパンの類から、食器まで揃っているので、近くのスーパーや市場で買出しをして、自炊すれば、食費もかなり抑えられますよ。毎日、レストランに行っていたら、食事代はばかになりませんから」。
また、ここ数年、人気が高まっているのが、アパートよりも料金が割安の、貸しモービルホーム。本来は字のごとく、移動仮設住宅なのだが、海や観光地に近いバカンス村に、このモービルホームが設置され、バンガロー感覚で利用できるのだ。私自身が去年の春、ミディ・ピレネー地方で利用したモービルホームは、40平方メートルの建物にリビング・ダイニング・キッチンに小さな寝室が2つ,シャワー・トイレが、コンパクトに配置されていた。キッチンには調理台はもちろん、電子レンジ、オーブン、コーヒーメーカーまであり、使い勝手は悪くなかった。
そして、お金をかけない長期滞在の定番といえば、キャンプだ。日本同様、キャンプ場内に共同利用できるシャワー・トイレ、炊事場、バーベキューなどの施設があり、テントをかついでやって来る学生から、キャンピング・カーで乗り付ける家族連れまで様々な人たちが利用している。中にはキャンピング・カーで1か月以上ものんびりと逗留するリタイア後の夫婦もいるそうだ。