「40年」を経て甦るライブ盤  「サイモン&ガーファンクル」

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サイモン&ガーファンクル
『Live 1969』
SICP-2249
2520円
6月24日発売
ソニーミュージック・エンタテインメント


   1950~60年代のアメリカのR&R、ブルース、R&B、カントリー、フォーク・ミュージックなどの影響を受け、イギリスでビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、キンクスなどのバンドが誕生し、アメリカのミュージック・シーンに殴り込みをかけた1960年代のいわゆるブリティッシュ・インベンションの時期、この勢力をアメリカで迎え撃ったのは、フォークをベースにしたジョーン・バエズ、ボブ・ディラン、ザ・バーズ、ママス&パパス、ラヴィン・スプーンフル、そしてサイモン&ガーファンクル等のフォーク・ロックなどとも呼ばれた新しいアメリカン・ミュージックだった。

   アメリカがアジアでの反共産主義の橋頭堡とする目的で介入したベトナム戦争への厭戦気分が強まるとともに、ヒッピー・ムーブメントや反戦運動が若者を中心に広がり、アメリカ社会で大きな勢力となったが、そうした勢力の中でもロック・ミュージックがその担い手として突出していた。グランドファンク、ザ・ドアーズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリンなどはその代表格であり、その頂点がウッドストックだった。

   その一群と一線を画してはいたが、サイモン&ガーファンクルなどのフォーク・ロック・アーティストたちもまた、時代の波の中で、ミュージック・シーンに大きな足跡を残し、セールス的にはイギリス勢に対抗していた。

   サイモン&ガーファンクルの活動時期は1964~1970年と、今日にまで語り継がれる名声とは裏腹に、意外と短い。音楽の革新性、訴求力故だろう、その点ではビートルズと良く似ている。

   サイモン&ガーファンクルの16年振りとなる来日公演に合わせ「幻」といわれたライヴ・アルバムが発売された。 1969年にS&Gの最高傑作の一つといわれる「Bridge Over Troubled Water-明日に架ける橋」がレコーディングされ、そのレコーディング直後から始まった全米ツアーのステージを収録したもの。1969年はS&Gの実質的な解散の年でもあり、このライヴ・アルバムは結局日の目を見ることなく、今日に至った。この間、40年もの歳月が流れている! まさに「幻」。

   内容は、S&Gのベスト盤的内容で、解散間近とはいえ、油の乗り切ったステージを堪能できる傑作曲ぞろいの全17曲が収録されている。

   1969年は、一つの時代が終焉し、新しい時代の息吹が溢れた時代。占星術でいえば水瓶座(アクエリアス)という新しい時代の幕開けを、音楽が告げ、音楽が止揚した特別な時代。その時代の狭間に橋を架けたS&Gの、貴重な音源だ!

【Live 1969  収録曲】
1. 早く家に帰りたい
2. 動物園にて
3. 59番街橋の歌(フィーリン・グルーヴィー)
4. ソング・フォー・ジ・アスキング
5. エミリー・エミリー
6. スカボロー・フェア/詠唱
7. ミセス・ロビンソン
8. ボクサー
9. 手紙が欲しい
10. フランク・ロイド・ライトに捧げる歌
11. ザット・シルバー・ヘアード・ダディ・オブ・マイン
12. 明日に架ける橋
13. サウンド・オブ・サイレンス
14. アイ・アム・ア・ロック
15. 旧友/ブックエンドのテーマ
16. 木の葉は緑
17. キャシーの歌

 加藤 晋



◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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