小売業にとっての「天敵」である「万引き」。書店やドラッグストアなどでは1年に数百億円とも言われるほど大きなロスとなっている。各店が対策に苦慮する中、万引き犯を自動で捕捉してくれる「進化型万引き動作検知カメラシステム『サブローくん』」が登場し、注目を集めている。
首を左右に動かす、しゃがむ、そわそわする、を自動検知
防犯カメラに映った「不審者」を自動で知らせてくれる
開発したのは、小売業専門のコンサルティングを行っているリテールサポート。2009年6月23日から「トライアルキャンペーン」を実施、9月より本格販売を行う。今までの防犯カメラシステムになかったのは、「動作検知機能」が応用されていること。つまり「サブローくん」は、デジタルカメラが笑顔に自動で反応するように、万引きに至るまでにとりがちな行動をしている不審者を自動で検知してくれる。
具体的には、首を左右に動かし周囲の様子をうかがっているような動きや、しゃがみこむ、そわそわ、うろうろするなど。同社がこれまでに行ってきた防犯コンサルティングの中で犯罪に結びつく可能性が高いと分析されている不審な行動、約50種類を検知するという。そうした行動を繰り返している客を「不審者」として検知、アラームなどで店員に警告。こうして検知された「不審者」に、店員が声をかけたり、店内アナウンスを行ったりして、万引きを未然に防止するという仕組みだ。
書店の「万引きロス」は約192億円
子どもが走り回るなど、激しい動きには万引きに関係がなくとも「多少反応する」こともあるというが、こういった箇所をトライアル運用で改善していくとともに、「検知された客に対し積極的に声かけを行うなど、お店には接客のきっかけにもしてもらえれば」(リテールサポート担当者)と話している。
「サブローくん」の「トライアルキャンペーン」には、「どのようなシステムか知りたい」「詳しい話を聞きたい」など書店をはじめ、スーパーやコンビニなどからも多数の問い合わせが来ているといい、反応は上々の様子。トライアル期間は2か月、費用はパッケージで15万7500円だ。
日本出版インフラセンターが08年3月に発表した「書店万引き調査等結果概要」によると、全国書店の07年度「総ロス額」は約261億円。そのうち、73.64%が「万引きによるロス」と推計されており、約192億円分の書籍などが「万引き」の被害によって書店から姿を消している計算になる。リテールサポートの担当者は、「悩んでいるお店も多い。『サブローくん』は万引きを未然に防ぐことが目的。犯罪行為を抑止できればいい」と話している。
ホリデー茂山