「ヒント」が見つかる店! 新装、渋谷「東急ハンズ」

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   渋谷の東急ハンズは実は僕が毎週欠かさずに通っている珍しい店だ。それだけ通っても毎度新しい発見がある。そしてこんな素材は手に入るものかと、見本ではないけれどある商品の部品を指差せば、たいてい1週間もしないうちにハンズは素材の正体、素材の加工ができる業者まで用意して待っていてくれる。これはつまり僕のようなことをしている人が1人や2人ではないということだ。いろんな人がいろんな都合でハンズに来ては相談している。でないとこんな知識は集まらない。

緑のエプロンで「ユニフォームのチカラ」再確認

チラシに「元気」を感じる
チラシに「元気」を感じる

東急ハンズには毎週訪れたくなる何かが・・・
東急ハンズには毎週訪れたくなる何かが・・・

   これは東急ハンズでもらってきたチラシ。この緑のエプロンが新しい。シャツもハンズのおそろいだけれど、このエプロンにまずは新鮮な驚き。よくできているなと思ったのはエプロンのポケット。大きくていくつにも分かれていて、人によって入れてあるものが微妙に違う。作りもしっかりしていて便利そうだ。

   しかしこれをあの白髪のベテラン職人みたいなスタッフ(実際にベテラン職人が多い)がしたらどう見えるのか...と思ったけれど、これがなかなか似合っている。とはいえ、それ以上に若いスタッフの実力が上がったように見えた。久しぶりにユニフォームのチカラを感じた。

   チラシにもある通り、キャッチコピーは「ここは、ヒント・マーケット」。うまい言葉だなと思ったけれど、まさに僕と同じように「何かないかな...」という漠然とした気持ちでハンズに来ている人は多いのではないだろうか。今までそれは客側の気持ちだったわけだけれど、今回のリニューアルはそこを店の前面に出してきたようだ。

   面白いのは各フロアにある「Hint Pit!」というエレベーター前の空間。それぞれのフロアでできることを表現しながら遊びが多い。そう言えば今までのハンズにはこうした余剰がなかったのかもしれない。

   一番ウケていると感じたのは5階のステーショナリーのフロアの空間。懐かしい小学校の机と椅子が整然と並んでいる。壁はそのまま黒板のように使われている。僕が覗いた時は大学生と思われる若い男性がそこに座って「オレ、超欲しい。ソファなんて置けないけど、これぜんぜん置けるじゃん」と友人に向かってはしゃいでいた。この気持ちは僕にもわかる。これは見事なヒントかもしれない。ソファは一人暮らしにはぜいたくという以上にかさばるのだ。今までにはなかったこうした余計とも言える場所が確かにヒントを与えてくれる。考えてもいなかった視点を突然見せてくれる。

   そしてさらに驚いたことにフロアごとの見晴らしが以前よりグッとよくなっているのだ。商品が減っているわけではないし、むしろ実感としては増えていた。レイアウトというのは冷静に考えると変えられるものなのだなと改めて納得。以前に比べ、ちょっと提案型を前に出した。それが「ヒント・マーケット」なのかもしれない。ハンズに行く回数が増えそうだ。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィル

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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