日本とはちょっと違う フランスの新聞崩壊事情

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究極の打開策? クオリティ・ペーパーが無料紙を発行

有料紙の売り上げUPに貢献する「呼売り人」
有料紙の売り上げUPに貢献する「呼売り人」

   ただ、この問題は無料紙VS有料紙という単純な図式にはおさまらない。というのも2007年にフランスのエリート向けクオリティ・ペーパー「Le monde」が、有名実業家ヴァンサン・ボロレ率いるボロレ・グループと手を組んで無料紙「Direct matin plus」を創刊したのだ。(出資率はLe monde30%、ボロレ70%)。経営不振の打開策とはいえ、フランスを代表するクオリティ・ペーパーが、サルコジ大統領の親友で、大統領のヴァカンス費用を負担した、と取りざたされたボロレ氏と提携したことがイメージダウンにつながったのか、「Le monde」本誌の2008年の発行部数は2007年比で8.8%減。これじゃ、本末顛倒じゃないか?と、思ったが、この2月にLe monde社の記者が「Direct matin plus」のために書いた記事を同編集部が掲載拒否し、印刷直前に広告に差し替える事件が勃発。理由は業務提携先のパリ交通公社(駅構内に同紙の専用ラックを設置してもらっている)を非難する内容だったということらしい。その記事は、異議申し立ての言も付け加えて、「Le monde」に掲載された。クオリティ・ペーパーの気概は、ちゃんと残っているらしい。新聞ってイメージ商売かも、と感じた出来事であった。

江草由香


【プロフィル】
江草由香(えぐさ ゆか)
フリー・編集ライター。96年からパリ在住。ライターとして日本のメディアに寄稿しながら、パリ発日本語フリーペーパー『ビズ』http://www.bisoupfj.comの編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。趣味は映画観賞。

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