総売上「1200万枚」超えるか? 「グリーン・デイ」ニューアルバム

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21世紀のブレイクダウン

グリーン・デイ
『21世紀のブレイクダウン』
WPCR-13377
2580円
5月15日発売
ワーナーミュージック・ジャパン


   「いまさら!?」といなされそうだが、グリーン・デイの最新アルバムは傑作だ。グリーン・デイといえば、04年の前作「アメリカン・イディオット」が全米チャートを席巻し、グラミー賞も2冠を達成、全世界での総売上1200万枚超という、モンスターアルバムになったのだが、この『21世紀のブレイクダウン』は、おそらくそれを上回る結果を出すに違いない。まったく別物ではあるけれど、08年のコールドプレイ「ヴィヴァ・ラ・ヴィダ」の展開とよく似たものになるのではないかと想像する。

   このアルバムの凄いところは、前作もそうだったが、若いカップルを主人公とした見事なまでのコンセプトで貫かれていること。コンセプトには、地球規模で我々に襲い掛かるフラストレーションがモチーフに据えられ、そこに光を見出そうというテーマが貫く。

   グリーン・デイはポップ・パンクと言われているが、このアルバムは最早、聴き手にとってはポップ・パンクではない。壮大な音楽劇とも言えるもの。ただし、グリーン・デイメンバーの意識の奥に、パンク的な精神が脈々と流れているのはいうまでもない。

   音も、パンク的なものと壮大なイメージを喚起するバラードなど、多彩であり18曲を一気に聴き終える。1stシングル「ノウ・ユア・エナミー」は、ラジオ・ステーションでもパワープレイされているし、無意識にでも聴いているに違いないが、是非とも「意識的」に聴くことをお薦めする。

   世界では多くのミュージシャンが活動している。当たり前のことなのだが、このグリーン・デイのようなバンドが存在することに、驚きを禁じえない。

   いつか日本から、世界にこんな音を発信するバンドが現れることを、期待したいが……。どうなのかな……。

【21世紀のブレイクダウン  収録曲】
1. ソング・オブ・ザ・センチュリー
第1幕:ヒーローとペテン師
2. 21世紀のブレイクダウン
3. ノウ・ユア・エナミー
4. !ヴィヴァ・ラ・グロリア!
5. ビフォア・ザ・ロボトミー
6. クリスチャンズ・インフェルノ
7. ラスト・ナイト・オン・アース
第2幕:いかさま師と聖人
8. イースト・ジーザス・ノーウェア
9. ピースメーカー
10. ラスト・オブ・ジ・アメリカン・ガールズ
11. マーダー・シティ
12. ?ヴィヴァ・ラ・グロリア?(リトル・ガール)
13. レストレス・ハート・シンドローム
第3幕:馬蹄と手榴弾
14. ホースシューズ・アンド・ハンドグレネイズ
15. ザ・スタティック・エイジ
16. 21ガンズ
17. アメリカン・ユーロジー
      A.マス・ヒステリア
      B.モダン・ワールド
18. シー・ザ・ライト
19. ライツ・アウト *
* Bonus Track

加藤普



◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂 フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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