「まだ死にたくない、、、」。そんな言葉で締めくくられたブログが話題になっている。2009年9月3日に発売されるWii用ソフト「王様物語」の開発者がつづるクリエイターズブログの中の「魂の叫び、切なる願い」と題された6月15日のエントリー内での一言だ。いったいどういうことなのか。
もう夢が見れない業界なんだな
ブログを書いたのは、「王様物語」のエグゼクティブプロデューサー・和田康宏さん(マーベラスエンターテイメント)。同社のゲームが、プレイしたユーザーからは高い評価を得ているにもかかわらず、出荷本数が伸び悩んでいることに「もう本当に涙目。泣きそうです。夢にも出てきます」と悔しさをにじませ、今回の「精魂込めて作り上げ」、「とても面白いもの」に仕上がった「王様物語」が多く店頭に並ぶよう「どうか、予約してください」と呼びかけるなど、ゲーム業界で生きる苦悩を切々とつづっている。
その中で「本当の意味での、魂の叫びであり、切なる願いだったのかもしれません」として絞り出したのが「まだ死にたくない、、、」という、まさに悲鳴のような「声」だった。この表現、あまりにもインパクトが強かったのか、ネット上でも、
「人に娯楽を売る業界で『死にたくない』とかもう夢が見れない業界なんだな」
「不況だからゲームも吟味してからでしか買わないから…」
「(同社のソフトは)微妙に一般受けしないwでも最近良作揃いなのは本当」
など、多くの反応が寄せられている。
「ファイティングスピリットを表明したかった」
マーベラスエンターテイメントの広報担当者は、今回の反響の大きさに「主意と離れたところで話題になってしまった」と困惑気味だ。17日には和田さんも「お騒がせしました」とブログを更新しており、「『涙目』以下はいささか表現が悪すぎました」と反省。広報担当者も「更新のとおり真意は、『ファイティングスピリットを表明したかった』ということなんです」としている。
思わぬ形で話題になった「王様物語」だが、出来そのものについては担当者も自負しており、実際、日本に先駆けて09年4月末に発売されたヨーロッパでは、ゲームサイトで「平均9点」の高評価を受けるほどクオリティーが高く、面白いとの声が挙がっているそうだ。
「一言でいえば、『王様気分が味わえる』ゲーム。ひょんなことから『王様』になった少年が国民を思うように動かして、不思議な世界を統一していく。普段の生活と、『何でもできる』ゲームの世界とのギャップを楽しんでもらえれば」(広報担当者)
「王様物語」ホームページは09年6月26日にリニューアルされ、「毎週更新」でゲームの面白さをアピールしていくという。