被災者に朗報  NASAも認めた「パンの缶詰」

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   焼きたてのパンが3年経っても食べられる。パン・アキモト(本社・栃木県)が製造、販売する「パンの缶詰」がアウトドア、防災備蓄用として人気を呼んでいる。年間販売総数は200万缶にのぼる。2009年3月には、保存性などがNASAに認められ、若田さん搭乗のスペースシャトル・ディスカバリー号にも積み込まれたほどだ。

3年たっても焼きたて感

スマトラ島やレイテ島など海外の災害被災地にも贈られた
スマトラ島やレイテ島など海外の災害被災地にも贈られた
スペースシャトル積載記念パン缶
スペースシャトル積載記念パン缶

   人気の秘訣(ひけつ)は、賞味期限3年の保存食用のパンとは思えない「ふっくら、しっとり」とした焼きたて感。独自の製造方法で作った缶詰は、焼きたてのパンと比較しても食感や味に遜色ないという。また、ミルククリーム味、粒々いちご味など全部で14種類あるラインナップの豊富さも受けている要因のようだ。

   同社が保存性に優れたパンを作ろうと考えたきっかけは、阪神淡路大震災の被災者の声だった。神戸の被災地に2000個のパンを届けた同社は、予想外の事態に直面する。

「苦労して届けたのに、その多くは食べられることなく腐ってしまいました。届けるまでに時間がかかったこともありますが、被災地は混乱状態でとてもすぐに配れるような状況ではなかったのです」(同社経営企画室・秋元信彦氏)。

   「カンパンのように賞味期限が長いパンを作って欲しい」という被災者の要望を真摯に受け止めて、保存性を追求した。そして、1年間の試行錯誤を経て、1996年に「パンをまるごと缶詰にする」という斬新なアイデアの商品化に成功。「缶の中にパンの生地を入れて焼き上げ、無菌・無酸素状態を作り出す」という技術は、同社独自のもので、既に日本やアメリカなどで特許を取得している。

   2004年の新潟県中越地震では、被災者の救援物資や災害時に備えた保存食などとして重宝されてきた。また、最近ではギフト用やお土産用などとしての人気も高まっているそうだ。

「今後は、自治体との連携をさらに強めていくと同時に、台湾、米国など海外での販売計画にも力を入れていこうと考えております」(同)。

   全国のスーパーなどで販売している他、大手ネットショップなどでも購入できる。1缶100グラム400円前後が実勢価格という。

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