コーセーが、百貨店向けの新ブランド「ADDICTION(アディクション)」を2009 年7 月に立ち上げる。商品展開は27 品目108 品種。「美」に対して「どん欲」な女性を満足させる品揃えになっているという。
AYAKO氏がディレクション
「普通の美しさでは満足できず、美しくなることにパワフルな女性に向けたブランドです。首都圏のキャリア層がメインターゲットで、これまでの当社のブランドにはなかった豪華一点主義のメイクをイメージしています」
広報担当者がこう語るように、同社では今回の商品に特に力を入れている。世界のセレブリティのメイクアップを手掛け、ニューヨークを拠点に活躍する日本人メイクアップアーティスト、AYAKO氏をクリエイティブディレクターとして招請。商品開発、メイクアップ提案からブランド戦略に至るまで総合的なディレクションを任せた。
商品の詳細は6月4日の発表会で明かされるが、1260~4725 円という価格設定は百貨店ブランドのわりにリーズナブル。たとえば、アイカラーの中心価格は2100 円、リップスティックも2940 円のように、手を出しやすい。
「アイカラーは黒、白、茶といった定番の色味が中心で、同じ黒でも質感が異なるバリエーションがある」(同担当者)。
7月15日から伊勢丹新宿店、続いて神戸大丸で展開。その後は、大都市圏の百貨店を中心に順次導入し、年内に4~5店舗を想定している。
百貨店ブランドに多い「アウトオブブランド」
ちなみに、新ブランドでは表向き「コーセー」の名を出さないそうだ。同社は百貨店ブランド「JILL STUART(ジル スチュアート)」「AWAKE(アウェイク)」も展開しているが、いずれもコーセーの名は出ていない。
企業名を表に出さない化粧品ブランドのことは「アウトオブブランド」といい、百貨店ブランドに多くみられる。
たとえば、「イプサ」「AYURA(アユーラ)」「NARS(ナーズ)」は資生堂、「RMK」「SUQQU(スック)」はカネボウ化粧品のブランドだが、一般の消費者にはあまり知られていないのではないだろうか。
では、企業名を出さないのはなぜか?
化粧品業界に詳しい人物は、
「大手メーカーの場合、ドラッグストアやスーパーマーケット、コンビニエンスストアで数百円から化粧品を販売しています。化粧品市場のボリュームゾーンは低~中価格帯で、こうしたセルフ販売の化粧品の方が圧倒的に多いのが実状。一方、百貨店ブランドは『高級感』がないといけないし、安い化粧品のイメージを払しょくするために、別ブランドとして立ち上げるんです。また、既存ブランドの色をつけたくないという理由でも用いられます」
と話している。