「エコ」に取り組みたい。でも、こまめな電源のオンオフは面倒だ――。そんな人のために、最近では、人がいなくなると自然に電源がオフになる機能を搭載した家電製品が発売され、人気を呼んでいる。ソニーの液晶テレビ「ブラビア」や富士通ゼネラルのエアコン「ノクリア」などだが、こうした要素を車に搭載したのがマツダの新機能「i-stop」(自動アイドリングストップ)だ。
2009年ゴールデンウイークの話題は「ETC割引」に尽きた。条件はあるが、1000円でかなり遠くまで行けるのだから、家族連れには特にありがたい。当然、渋滞は前年比で倍増した。その渋滞時にアイドリング状態の長さが気になった人も多いだろう。アイドリングは、ガソリンを無駄に消費するし、環境にも悪い。こまめにアイドリングストップをすればいいとはいえ、イグニションキーをいちいち回す操作を面倒がる人が多いのも事実。そんな問題を一気に解決してくれるクルマが、09年6月11日発売の新型「マツダ アクセラ」だ。
「i-stop」が「エコ」につながる
自動アイドリングストップ機能を搭載した新型「マツダ アクセラ」
マツダの新技術「i-stop」搭載エンジン
マツダの新技術「i-stop」は、信号待ち等で車両が停止する際に、ドライバーがブレーキを踏み込むと自動的にエンジンが止まり、アイドリングストップさせるというもの。再発進時も極めてスムーズで、停止しているエンジンが再始動するまでかかる所用時間は約0.35秒と、まさに一瞬だ。同時に、停止状態から走行状態への移行が至ってスムーズなのも大きな特長で、ドライバーや同乗者はほとんどストレスを感じないまま快適なドライブが楽しめる。この「i-stop」によって10%以上の燃費改善になるというのだからメリットは大きい。
また、アイドリングストップの自動化がガソリン代の節約になる点も重要なポイント。財団法人・省エネルギーセンターの調査では、2000cc車がアイドリング状態を1日10分続けた場合、260ccの燃料を消費するという。1年間でみれば95リットル。1リットル100円としても、年間9500円の節約となる。それだけじゃない。新型「アクセラ」はエコカー減税にも適合しており、i-stop車は購入時に重量税と取得税75%(=約11万円)が減税されるのだ。
無駄な燃料使用をしなければ、CO2排出量も抑えられる。新型「アクセラ」の車内には、「植林モニター」なるものが搭載されているが、ここではアイドリングストップの累積時間が自動計算・表示されるほか、累積時間が増えていることを、アニメーションの「芽」が若葉から若木へと成長することで教えてくれる。累積8.4時間で1本の木となるが、これはアイドリングストップを「楽しみ」に変える仕組み。生長していく木を見ていると「1本の木を守っている」という喜びにつながるようだ。
「植林モニター」にはアイドリングストップ累積時間が自動計算・表示される
マツダの広報担当者が、自動アイドリングストップ機能搭載する新型「アクセラ」について、「この技術の狙いは、経済性の観点もさることながら、無駄なエネルギーを使わないことです」と言うように、同社は「環境への配慮」を重要課題として掲げている。
「商品を通じて走る楽しさをお客様に提供することがマツダの使命。ただし、今は自然環境を守ることも重要。よって、走る楽しさを保ちながら、無駄なエネルギーはなるべく使わない、不要なCO2の排出はできるだけ抑えるという意識が、今回の新技術『i-stop』の根底にあります。新型『アクセラ』では走る楽しさと自然環境を守る喜びの両方を感じていただきたいですね」
今後、マツダはアクセラ以外の車種にも「i-stop」を搭載した商品展開を目指している。