労働者を癒す「魅惑のアイテム」に
確かに、フランスでも毎日のように、企業の人員削減、工場閉鎖などのニュースが流れる。2008年四半期に8.2%になった失業率は、今年、さらに高くなると言われている。ただ、泣き寝入りしがちな日本の労働者(最近は少し変わってきているようだが)と違って、フランスの労働者はデモ、ストなどで、怒りを表現し(爆発させ?)、意見を主張する、いわゆるマニフェストが得意だ(ちなみにフランス語でデモは"マニフェスタッション")。最近では労組による経営者軟禁という少々手荒な方法も用いられ、工場閉鎖による従業員解雇を発表したソニー・フランスの社長(フランス人です、念のため)が一晩中社長室で軟禁された事件は有名だ。もちろん、それで、解雇が撤回されるわけではないが、退職金の額が上乗せされることだってあり、少しは腹の虫もおさまるというものだ。
でも、仲間と外でマニフェストして、気分が高揚しても、家に帰れば先のことを考えてどーん、と落ち込んだりするだろう。そんな時、人知れず使う「ルナローム」は、不況期の労働者を癒す「魅惑のアイテム」になっているに違いない。
江草由香