「骨」がある大根おろし器!?
こだわりが感じられる刃
もっとも工夫が凝らされているのは刃の部分だ。写真でわかっていただけるだろうか、刃の大きさが一律ではなく、また、刃の方向がすりおろす方向に対し直角ではない。このため大根がスムーズにおろせるのだそうだ。さらに前後にすればおろせるのだけれど、円を描くようにするときめ細かいおろしができる。刃の間が狭くなるからだ。さらにさらにと文章が続いてしまうが、それほどに工夫が組み合わさっている。
09年5月29日から東京ミッドタウンの2121 DESIGN SIGHTで山中俊治ディレクション「骨」展が開かれる。生物の骨格というのは外観と見事に連携している。必然で貫かれている。デザインもまたそうした骨を持っていると山中さんは考えている。それを展覧会で表現しようと企画したのだそうだ。
この大根おろし器にも同じ思想が入っている。必然となるまで細部が検討され、それが統合されてひとつの道具としての完成した形となる。見ているうちにこのおろし器もまた骨に見えてきた。
坂井直樹