もう一度イチから考える ~山中俊治の大根おろし器~

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「骨」がある大根おろし器!?

こだわりが感じられる刃
こだわりが感じられる刃

   もっとも工夫が凝らされているのは刃の部分だ。写真でわかっていただけるだろうか、刃の大きさが一律ではなく、また、刃の方向がすりおろす方向に対し直角ではない。このため大根がスムーズにおろせるのだそうだ。さらに前後にすればおろせるのだけれど、円を描くようにするときめ細かいおろしができる。刃の間が狭くなるからだ。さらにさらにと文章が続いてしまうが、それほどに工夫が組み合わさっている。

   09年5月29日から東京ミッドタウンの2121 DESIGN SIGHTで山中俊治ディレクション「骨」展が開かれる。生物の骨格というのは外観と見事に連携している。必然で貫かれている。デザインもまたそうした骨を持っていると山中さんは考えている。それを展覧会で表現しようと企画したのだそうだ。

   この大根おろし器にも同じ思想が入っている。必然となるまで細部が検討され、それが統合されてひとつの道具としての完成した形となる。見ているうちにこのおろし器もまた骨に見えてきた。

坂井直樹




◆坂井 直樹 プロフィル

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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