さて、カリフォルニア州は幼稚園から高校までの13年間が義務教育。公立の学校を選べば特別校以外、基本的に授業料はタダなのですが、日本人向けの現地校入園説明会で「幼稚園は小学校にはいるための準備期間。そのため、小学校で宿題をするという習慣をつけさせるために、幼稚園でも宿題がでる」、などと聞けば、幼稚園前に子どもをプリスクールにいかせて、いろいろと経験させておいたほうがいいのではないか、という結論になるのは当然のこと。
ではどういうプリスクールがいいのか? やはり人気の学校は存在し、そこにいかせたければ、子どもが生まれてまもなく、あるいは妊娠中からその学校を見学して、ウェイティングリストに名前を乗せなければならないのである。
隣市のアーバインは教育熱心な街で知られるのだが、オレンジカウンティの学校のランキングでは小学校から高校に至るまで、常にいくつもの学校が上位にランクイン。人気のプリスクールも数多く存在する。
人気高いUCIモンテッソーリ
ノブレスシリンダー(Sensorial)。大きさの違いを認識して並べること、また均等に並び整った状態になることで美的センスをも発達させる
ピンチング(Practical Life)。手先の筋肉の発達を促し、字を書くなど日常生活で使う筋肉を鍛える
そのアーバイン市にはなぜかモンテッソーリ系のプリスクールが多い。一口にモンテッソーリと言っても、系列によってアカデミックの要素も指導法も違うそうだ。が、UC Irvineにあるモンテッソーリ、University Montessori Schoolは人気が高い学校のひとつ。日本人の先生も1人幼稚園で教えているが、評判がよく、日本人のみならず外国人の保護者からも人気がある。そしてアーバイン市に4校ある日系プリあるいはデイケアのうち2つはモンテッソーリを取り入れている。
Universityモンテッソーリの人気の秘密を、「UCIの教授など、UCI関係者の子弟が多いため、子どものレベルが高く、しつけができているせいではないか。子どもに自由研究をさせるし、発展性のある子どもが多い」と自身でも日系プリにてモンテッソーリ教育を提供している長谷川ゆりこさんは分析する。
そもそもモンテッソーリとは「イタリア人のマリア・モンテッソーリが始めた、"自分のことを自分でお世話できるようになることで、そこから他人を思いやることを学んだり、生涯において自分から学び続けたりする姿勢を培うことができる人間を育てるための教育方法"」(長谷川さん)。
モンテッソーリの幼稚園というと日本ではミッション系の学校で取り入れているところが多いせいか、キリスト教や早期教育のイメージが強いが、こちらではそんなことはない。
確かにアーバイン市は中国、韓国、日本といったアジア系住民が多いせいか、教育熱心な人々が多く住む。その結果、同市に住む他の国の人たちも教育熱心になりつつある。「アジア人やヨーロッパ人の規律やしつけを重んじるスタンスが、自由や自主性、創造性を尊重しつつ、しつけや規律をも大事にするモンテッソーリの姿勢と合うのだろう」(長谷川さん)。ちなみにインドでも人気だそうだ。
野村香奈