「安さ」「手軽さ」が人気の回転寿司店で、期間限定ながら「値下げ競争」がヒートアップしている。通常1皿105円が、安いところだと驚きの「86円」に。これは、深刻な不況を利用した「薄利多売」戦略だが、やっているほうも決してラクじゃないのだ。
あきんどスシロー1皿86円、くら寿司88円
「回転寿司」チェーンでは値下げ競争が激化している(写真はイメージ)
回転寿司チェーンを展開する「あきんどスシロー」は2009年2月16日~20日、通常価格1皿105円のすし全皿を86円(税込み90円)で提供中。全国の店舗(3店舗を除く)にて実施するが、同社の広報担当者はJ-CASTニュースに対して、「この数か月、不況不況と言われているため、少しでもお客さんに奉仕できれば」と話す。
もっとも、試験的には08年10月から一部店舗で実施しており、値下げをしても利益を見込める目処がたったことから、今回の全国での実施を決めたという。キャンペーン発表後にはホームページのアクセスは倍増、注目を集めている。ただ、今後、キャンペーン以外でも継続的に86円を実施するかは未定だ。
また、「無添くら寿司」を運営するくらコーポレーションでも09年2月13日~21日、「88キャンペーン」として1皿105円の寿司を88円(税込み92円)で提供している。同社の場合は5~6年ほど前から、これまでもたびたび「88キャンペーン」を行っており、今回が初めてではない。担当者によれば「キャンペーンの一つ。薄利多売で今後の集客につなげたい」と話している。
さらに、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトでも現在、平日11時~15時に限り一皿94円で提供中。平日の時間帯以外にも94円で提供する可能性については、「試験的に終日94円で提供している店舗はあるが、今後実施するかは未定。視野に入れているとしかいえない」としている。
キャンペーン実施期間中は値下げにより、原価率が高くなってしまう。そのため、期間中は赤字になるのが当然のようで、「価格を継続的に下げるとなると苦しい。クオリティーを落とさなくてはならなくなる」(業界関係者)という声もある。