コーヒーを飲みながら気ままに猫と戯れる昼下がり――自宅での話ではない、ここはれっきとした喫茶店だ。その名も猫カフェ。2008年から、首都圏を中心にこうしたカフェが増えつつある。首都圏でも新宿や池袋を中心に、現在25店舗ほどの猫カフェが存在しているのだ。
発祥の地は台湾
ネコちゃん、リラックスしすぎて大あくび(写真提供「ねこのみせ」)
猫カフェは一見普通の喫茶店と同じで、客はお茶やお菓子を注文してくつろぐことができる。普通の喫茶店と違うのは、店の中のいたるところに猫がいるという点。店によっては飲食スペースと猫と遊べるスペースが分かれているところもある。
お店によって違いはあるが、猫カフェではだいたい10匹前後の猫が「働いている」。といっても、店内を気ままにゴロゴロしているだけなのだが、客は店にあるおもちゃなどで気を引いたりして遊ぶことも可能。基本的に料金は時間料金制の「入場料」+飲食代で、1時間あたり1000~2000円くらいが相場だ。
猫カフェ発祥の地は、台湾。1998年ごろ「猫花園」を筆頭に始まり、現在でも台北市内を中心に約10店ほどの店が存在しているという。ただし、台湾の猫カフェは猫とのふれあいが目的ではなく、あくまで「猫のいる喫茶店」というスタンス。したがって日本のような時間制はとっておらず、日本の猫カフェとは事情が違うようである。
東京都・町田市にある猫カフェ「ねこのみせ」オーナーの花田憲昌さんはもともと猫にはあまり興味がなかった。しかし、2004年7月、台湾に旅行した際「猫花園」に行き、初めて「猫カフェ」を体験。猫のいる和やかな雰囲気に魅了され、「こういう店、日本にもあったらいいなあ」と考え、05年6月に開店したのだという。
現在、在籍(?)する猫の数は12匹で、いずれも個性があってカワいい子ばかり。店内には無料のマッサージチェアがあり、食べ物の持ち込みも可だ。
平日にはサラリーマンの姿も
こちらは完全に夢の中・・・。ちなみに名前は「のりたま」ちゃんだそうです(写真提供「猫の時間」)
「ねこのみせ」は“関東初”の「猫カフェ」ではあるが、日本初ではない。「ねこのみせ」がオープンする1年3か月前、大阪市北区で大の猫好きオーナー・吉田陽子さんが始めたお店「猫の時間」が、「日本初」の猫カフェということらしい。
「大好きな猫をたくさん飼える場所が欲しかったんです」(吉田さん)
もともとは犬を扱うペットショップを経営していたが、猫好きが高じて猫カフェをオープン。ちなみに、吉田さんは台湾の猫カフェの存在は知らなかったそうだ。
店には家族連れやカップル、年齢層もさまざまな猫好きが集まり、雰囲気はいたってなごやか。初めはどう振る舞えばいいか戸惑う客も、すぐにムードに溶け込み、リラックスした気分になれるとか。
「平日には一人でいらっしゃるサラリーマンの男性もいらっしゃいますよ」
と吉田さん。
「『猫がたくさんいる場所』というのではなくて、『あそこにいったらあの子に会える』、そんな場所を提供できたらいいな、と思っています」
08年12月には「猫の時間」2号店が大阪市中央区のアメリカ村にオープンしている。