「強いアメリカ」はどこへ? 08年自動車業界を振り返る

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   前年末に発売された「NISSAN GT-R」は、メディアのみならずデパートの福袋にまで登場、自動車業界の08年はちょっとしたお祭り気分で幕があけた。そう、思い返してみれば前半は実際にとても景気が良かったのだ。しかし、秋に起きた金融危機は自動車業界を直撃。アメリカのビッグ3はその経営が危ぶまれ、クライスラーに至っては1か月間の工場操業停止を発表。あのトヨタですら赤字の見通しを先日発表したばかりだ。暗い話ばかりの自動車業界だが08年はどんな1年だったのか? 発売された商品を中心に少し振り返ってみたい。

4人乗れるスポーツタイプの販売が目立った欧州車

ポルシェの4ドアモデル「パナメーラ」
ポルシェの4ドアモデル「パナメーラ」

   目立った新車の発売もなく既存車種の仕様変更ばかりで、文字通り元気のなかった米国に対し、欧州のメーカーは新車の発表が相次いだ。とくに、4シーターのスポーツタイプ発売が目立ったといえるだろう。

   アウディは11年ぶりに2ドア4シータークーペ「A5」を送り出したし、フォルクスワーゲンも4ドア4シータークーペ「パサートCC」を発売。スポーティなイメージを持つ"クーペ"といえば普通は2シーターだが、今年に入り4シーターが目立つようになった。

   4人が乗れるスポーティな車、この流れは09年以降も当面続きそうだ。映画「007」シリーズにも登場するスポーツカーのメーカー、アストンマーチンも4ドア車を09年に発売する予定と発表したし、イタリアのランボルギーニも秋に開催されたパリサロンで4ドアタイプのコンセプトモデルを公開。ポルシェに至っては「パナメーラ」のボディーサイズと写真が公開されており、09年内の発売へ秒読み段階だ。

日本車は「環境」一直線

この小ささがスタンダードになるか?
この小ささがスタンダードになるか?

   スポーティーな車が目立つ欧州に比べ、日本車は環境志向が明確だ。日産の「エクストレイル」や三菱の「パジェロ」に代表されるのはディーゼルエンジンの復活。以前にも特集したように、環境面からディーゼルへの注目が集まり、日本でも少しずつではあるがディーゼル車が登場しはじめている。

   エンジンとは別にボディーサイズを見直して環境対策をはかるのがトヨタの「iQ」。全長×全幅×全高が2985×1680×1500(単位はmm)と、ボディーサイズを小さくすることで燃費の向上を図り、やはり環境面への配慮を重視した車と仕上がっている。08年12月22日に発表した発売後1か月の販売台数は8000台と、こちらはなかなか好調な立ち上がりだ。

   しかし、ディーゼルの車種は少数だし、普及率も低いといわざるを得ない。ディーゼルに対する悪いイメージを払しょくしていかなければならないという現実的な問題もある。「iQ」も、販売台数ランキング上位にミニバンやステーションワゴンなどの大きめの車が君臨している現状に、話題性という武器がなくなる今後、どれだけ切り込んでいけるかも未知数。環境対策をうたっていれば安泰というわけでもなさそうだ。

   果敢に新しいセグメントへ乗り込む欧州、環境志向の日本、そして黙り込んでしまった米国と、世相を如実に反映したかのような08年の自動車業界。09年はこの構図がどう変わっていくのだろう。

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