下着にこだわる男性が多い中、ユニークな下着が登場してもっぱらの話題だ。戦国の世に活躍した武将の甲冑(かっちゅう)、いわゆる鎧(よろい)を模したものである。この下着、発売元の社長のアイデアであると同時に、世の男性を励ます、強い気持ちも込められていた!
「男がんばれ!勝負してこうや!」
ログインの「包帯・甲冑パンツ」。写真左が徳川家康。右が織田信長バージョン
その商品とは、ログイン(東京都品川区)が2008年12月13日に発売した紳士用アンダーウェア「包帯・甲冑パンツ」。包帯生地をベースにした下着「包帯パンツ」(07年10月発売)の新デザインだ。「包帯パンツ」は通気性に優れるうえ、伸び縮みする包帯素材を使用しているためにフィット感がいいと人気を集めている。
新デザインの「甲冑パンツ」は甲冑をイメージしたもの。彩り鮮やかな甲冑は、武将によりデザインが異なるが、今回は徳川家康や織田信長、森蘭丸ら8人の豪傑たちが身に着けたものをラインナップしている。サイズはM、Lの2種類で、価格は9240円。洗濯も可。
なんとも変わったパンツなのだが、商品化に至った経緯が気になるところ。ログインの野木志郎社長によれば、「以前から(『包帯パンツ』のデザイン)バリエーションを増やしてほしいという声があった」といい、新たなデザインを探すべく下着売り場を回ったそうだ。しかし……。
「いろいろと下着の柄を見て歩いたんですが、ぴんとくるものが"全然"なかったんですよ。全然です」
そんな折、デザイナーと打ち合わせをしているときに、ふと思い出したことが…。それこそ、甲冑のデザイン案だった。
「実は、4年前からあたためていた企画だったんです。もっとも、(しばらく)忘れていたんですけどね(笑)。そもそも、甲冑パンツを思いついたのは、歴史好きの私が偶然、本屋で『甲冑の写真集』を手にしたときでした。そこにあった森蘭丸の甲冑に魅せられましてね。当時は、別の甲冑を調べたり、博物館へ足を運んだりしていたほどでした。また、下着にできないかなと自らスケッチをしたこともありました」
このアイデアをデザイナーに話したところ、「面白い!」ということになって商品化の話がとんとん拍子に進んでいったという。
発売して数日たったが、反響は上々。野木社長は自社のブログ「包帯パンツ物語」の中で、初日に追加注文がきたことに対する驚きを記している。
この時代、何が売れるか分からないものだ。
最後に、野木社長は甲冑パンツに込めた思いをこう語っている。
「いま、景気も悪く、沈んだ気分じゃないですか。世の中が。ですから、『男がんばれ! 勝負してこうや! やったれー』といった強いメッセージを込めています。できれば女性から男性へのプレゼントにしていただければ、と。そうすれば、男は奮起すると思いますんで」