冬の長く厳しい北欧・デンマークでは、必然的に家で長く過ごすことが多い。デンマークの人たちは部屋を明るくするためというより、日常のそれぞれの場に居心地の良い灯りを上手に取り入れている。
やわらかく温もりのあるトルボーの光
「トルボー」。乳白ガラス 径155×高160mm/700g 3万3600円
"ものづくりの国"ともいわれるデンマークでは、数々の美しい照明がつくられてきた。ここで紹介するふたつの照明は、どちらも場を和らげるやさしい光を放つので、食卓のペンダントにおすすめしたい。
乳白ガラスを透明ガラスで挟み込んだ三層の吹きガラスシェード、「トルボー」。これは職人によるハンドメイドである。
内側は凹凸のあるフロスト加工になっているため、光をやわらかく拡散し、温もりのある光をつくる。
またPHシリーズはデンマークを代表するデザイナー、ポール・ヘニングセン(1894-1967年)がデザインした楕円形リフレクターをモチーフに、ルイスポールセン社がデザインしたもの。
シンプルなシェードは、その存在を主張することなく、どんな空間にもなじむ。
PHシリーズは黄昏時の明るさを実現
「PH4/3」。アルミ、白色塗装マット仕上げ。径400×高200mm/1000g 4万6200円
ポール・ヘニングセンは数多くの照明をデザインしたが、なかでも名作といわれ、今日でも人気なのが「PHランプ」。
シェードの織りなす機能美を備え、いくつものバリエーションがあるが、ここで紹介するのは「PH4/3」。1966年発売以来のロングセラーで、3枚シェードのシンプルな基本形だ。
やわらかな光を下方へ集めたシェードは、単にデザインを意識しただけではない。光源の眩しさを取り除くと同時に、無駄のない配光をつくりだすよう、シェードの長さや角度は緻密に計算されているのだ。
陰影のある空間をつくり、部屋に奥行きをもたらすデンマークの照明。ただ美しいだけでなく、光の質を追い求め、そのかたちは生まれたのである。(商品の取り扱い/タルジェッティ ポールセン ジャパン)
*『住む。』27号では、デンマークの美しいペンダントのほか、デンマークの名作椅子も紹介しています。
「住む。」編集部