黒船「スマートフォン」続々上陸 日本市場に「定着」できるか

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   このところ、「スマートフォン」のニュースがメディアを賑わせている。米国ではグーグルの携帯向け無償OS「アンドロイド」を搭載した端末「T-Mobile G1」が10月22日に発売J-CASTニュース11月19日付の記事で報じているが、国内でもアンドロイドを搭載するケータイがNTTドコモから発売されることが決まった。

2008年はスマートフォン「発売」ブームだった

グーグルOS「アンドロイド」を搭載して話題の「T-Mobile G1」
グーグルOS「アンドロイド」を搭載して話題の「T-Mobile G1」

   スマートフォンは、「多機能携帯電話」と訳されることが多いが、電話のほかにネットやアプリケーション(インストール)機能を持ち、キーボードを備えるなど、多少なりとも「パソコン」的な要素を持つケータイ電話のことである。

   7月には日本市場に強大な脅威を与えるとの見通しから、「黒船」の異名を取ったアップル製のiPhone(アイフォーン)が発売された。少なくとも発売の前後は、黒船どころか"未知"と遭遇したような大騒ぎとなった。iPhoneをソフトバンクにさらわれた格好のNTTドコモは年内に、欧米ではメジャーブランドでトップシェアのスマートフォン「ブラックベリー」の最新モデルを一般市場向けに投入する予定だ。こうして見ると、2008年はちょっとしたスマートフォン「発売」ブームだったと言えそうだ。

日本のケータイはスマートフォン並に便利!?

日本市場独自の機能に対応したiPhoneだが、おサイフケータイにはいまだ未対応
日本市場独自の機能に対応したiPhoneだが、おサイフケータイにはいまだ未対応

   一部には今年を「スマートフォン元年」と名付けるべきとの声もあり、この分野は今後右肩上がりに飛躍するとの見通しがある。だが、それはどうだろうか。"第二のPDA"とも言えるスマートフォンの未来は、とりわけ日本市場ではそう確かなものとは思えない。

   「小さくて軽い」電子機器を尊び、多機能高機能にも目がないのが、日本のお国柄である。各メーカーは早い時期から小さなケータイにたくさんの機能を詰め込むのに夢中になり、その結果独自のケータイ文化を発展させてきた。デジカメにウェブにメール、音楽ダウンロード、絵文字、ワンセグテレビ、おサイフケータイ(FeliCa)、かつてPDAと呼ばれた情報端末的にも使える多機能ケータイがすでにユーザーに行き渡っている。これらは"多機能"なスマートフォンにもそう見劣りしない。逆にスマートフォンでは未対応の機能もある。

   ソフトバンクモバイルは先頃、「iPhoneの(日本市場における)問題点を解決」したと発表した。絵文字への対応と、別売ワンセグチューナー兼バッテリーの発売である。これは大きな前進だろうが、問題は依然残っている。携帯電話でテレビを見るために、本体とは別の専用チューナーを持ち歩かせるやり方は、さしてスマートとは言えないし、おサイフケータイ機能は「解決」されないままだ。

   ここで視点を変えて、スマートフォンよりさらにスマートなモバイルパソコンの世界を見てみよう。ASUSのEee PCなどに牽引されて、小型・軽量・低価格化がこの1、2年で急激に進行している。ネット閲覧、オフィス・アプリケーションの使用、キーボードの打ちやすさを優先するならば、パソコン用のWindows OSベースで画面もキーボードも大きい「パソコン」に軍配が上がる。それらの簡易版+電話を、となれば、(スマートフォンよりは)小さくて軽いこれまでの日本式ケータイでできてしまうのである。

「ブラックベリー」「アンドロイド」は周回遅れの黒船

   そう考えると、日本における「スマートフォン」は中途半端で、限定的な存在に思えてならない。アップルとiPodの高いブランド力とマーケティング力に支えられたiPhoneも、発売から数週間以降は夜も眠れぬほどのインパクトは与えていない。それより後発で、知名度が劣り、おそらくは日本市場への対応も不十分な「ブラックベリー」「アンドロイド」となると、もはや周回遅れの黒船だ、と言ったら言いすぎだろうか。これらの船団がどこまで存在感を持つことになるのか――。先のことはわからないが、この業界では「新発売」の次に「撤退」や「終了」の記事を目にするのは、そう珍しくはない。

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