「自席のないオフィス」という試み イデアインターナショナルと形見一郎

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「ここにいると楽しい」

形見一郎さん
形見一郎さん

   デザインを担当した形見一郎さんは、ここ数年カフェ、レストラン、ショップなど、都会でオシャレな商空間をどんどん提案してきたデザイナーだ。常に新しい提案をしようとしているし、時には不便さもその味とできることを知っている。仕事の範囲を固執することなく、プロダクトデザインから建築まで手がけている。

   このオフィスを作るにあたって、自席なし、個人スペースはロッカーのみ、というのはイデアインターナショナルからの提案だったそうだ。いろんな仕事をしている人間が、自分の仕事はこれだけと決めてかかるのではなく、イデアインターナショナルのひとりとして様々な仕事に広く関わってくれることが希望だったのだそうだ。形見さんを指名したのはこの時点で正しかったことがわかる。その上、形見さんはイデアインターナショナルの店舗を手がけた実績もあった。

   私も仕事の中で形見さんには面識がある。形見さんに伺ってみた。「せっかく自分の席がなく、自分のその日の場所を探す、なんて試みをするんだったら、人と人の導線がぶつかる空間を作ろうと思ったんです。滑らかに誰かの隣を通り過ぎて行くようなことは絶対できないようにしようと。通路の幅はどんどん変わりますし、直線で進める場所なんて入り口くらいです。その入り口部分は水まわりを集中させているので、水を通すスペースが必要です。だからわざわざ1段上がって、1段下がる。いちいち動きが変化するんです」

   工夫はもっともっとあるのだけれど、このくらいにしておこう。何よりもその場にいて思ったのは、ここにいると楽しい、ということだった。僕もオフィスの引っ越しを考えているのだけれど、ここまで楽しめるものかどうか。




◆坂井 直樹 プロフィル

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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