こだわり抜いて生まれた新作「グランデ」
エクストラノーマル グランデ」のメッシュシリーズ
「オリジナル」(左)と「グランデ」(右)の円盤に注目
「オリジナル」(左)と「グランデ」(右)の円盤に注目
新作「エクストラノーマル グランデ」を作るにあたり、ロスは自分で工場探しから始めたと言う。前作の「エクストラノーマル オリジナル」では円盤の端が見えてしまっている。この円盤の大きさは工場と何度も話し合い、できる限り大きく、円盤の存在が見えないようにしてほしいという要望をし続けてようやく達成したところだったそうだ。この円盤の存在をまったく見えない状態にしたかったのに、2年前はそれが達成できなかった。これを可能にする工場を探し出し、交渉した。さらに時計を包む風防ガラスにわずかなふくらみを持たせた。見やすさだけでなく、平面では感じられない味わいがある。裏蓋は側面に滑らかにつながる曲面に仕上げた。ヘアライン加工も納得のいくラインを作ることができた。ロスに言われるまで見えないような様々なデザインの磨き上げがそこにあった。
新しいデザインを追いかけるだけでなく、自分の生み出したモチーフを磨き上げ、変奏していくというのは重要な作業でありつつ、軽んじられていることなのかもしれない。
ロスに次はどんな腕時計を考えているの、と訊ねてみたら、次は全然違うデジタル表示かな、と答えてくれた。アメリカ生まれでなぜか日本に住み着いたデザイナーの物作りからしばらく目が離せない。
坂井直樹