原研哉さんが見つめる「白」 ~ギンザ・グラフィック・ギャラリー 原研哉展~

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出発点は「色のない世界」

21世紀の鹿威し。「水玉」だけが無言で動いている 〔(C)Mitsumasa Fujitsuka〕
21世紀の鹿威し。「水玉」だけが無言で動いている 〔(C)Mitsumasa Fujitsuka〕

   地下に下ると、そこには去年の21_21 DESIGN SIGHT「WATER展」に出されていた作品など、グラフィックではない作品が置かれていた。撥水性の極めて高い素材を使った21世紀の鹿威し(ししおどし)。ぶつかっては細かくなる水玉が当たっては方向を変え、大きさを変え、やがては跳ね返ったり、一緒になって大きくなったりしながら白い坂道を転がっていく。最後の水玉が落ちたかと思うと、鹿威しが水の重さに負けて動き、次の水玉が溢れ出す。やはり白と銀の世界。さらに奥には黒と銀の世界もある。

   徹底して色のない世界を展開し、何もない状況を考える。自分自身の提案は常にそこを出発点とする。しかし、デザインについて他の人が語るものであればヒントとして色を置く。商品の提案のためならば必要なだけの色を使う。原さんは常に相手のことを考えて物づくりをしている。その相手が自分になった瞬間に色彩は消えてしまうようだ。




◆坂井 直樹 プロフィル

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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