原研哉さんが見つめる「白」 ~ギンザ・グラフィック・ギャラリー 原研哉展~

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   原研哉さんにはこのところ装幀でお世話になっている。「デザインのたくらみ」「デザインの深読み」ともに原さんにお願いした。期せずしてどちらもほとんど白い。原さんの近著「白」も同じ質の白を使ったもの。こちらは白と墨色だけ。そして3冊ともデザイン学校ではやってはいけないと言われるようなズレがデザイン要素に持ち込まれ、まるで龍安寺の庭を見ているようだ。

学校では教えない「非常識」の美

原さんの個性的な装幀で書籍は不思議な輝きを放つ
原さんの個性的な装幀で書籍は不思議な輝きを放つ

   ご自身の本では、もちろん言いたいのが「白」だから他の色なし。しかし正面から見るとタイトルが欠けている。僕の本では逆に表紙に背表紙から妙なはみ出しがある。こんなレイアウトを教える学校はないと思うけれど、眺めつつ、確かにそこがいい塩梅だね、と感じる。それが原さんの仕事だ。

   今回の展覧会のタイトルは「白」原研哉展。近著「白」と重なっているのだろうと推察しつつ、会場に伺った。

   ギンザ・グラフィック・ギャラリーは1階と地下1階で構成されている。ドアを開けるところからもう白ばかり。そして文字も墨色または灰色。ポスター、著書、そしてその奥まで白と黒と銀の世界。銀もまた自分の色を持たない仲間なのだ。ここまで徹底することで見えてくるのは白のニュアンス。触らないとわからないと著書に書いておきながら、「作品にはお手を触れないでください」の札。知ってますよね、と見る人をケムに巻くうまさ。




◆坂井 直樹 プロフィル

坂井直樹氏
ウォーターデザインスコープ代表/コンセプター。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授。1947年京都市出身。京都市芸術大学デザイン科入学後、渡米。サンフランシスコでTattoo Companyを設立。ヒッピー達とTattooT-shirtを売り、大当たりする。帰国後、ウォータースタジオを設立し、日産「Be-1」「PAO」のヒット商品を世に送りだし、フューチャーレトロブームを創出した。2004年デザイン会社、ウォーターデザインスコープ社を設立し、ケイタイを初めとした数々のプロダクトを手がける。現在auの外部デザイン・ディレクター。07年9月、新メディアサイト「emo-TV」を立ち上げる。同年12月には、日常の出来事をきっかけにデザインの思想やビジネスコンセプトを書きつづった「デザインの深読み」(トランスワールドジャパン刊)を著した。

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