もし、この数年のインターネット業界の流行語大賞を決めるとしたら、「Web2.0」が文句なしで栄冠を手にするだろう。議論はあるにせよ、その次の銀メダルに値するのが「クラウドコンピューティング/Cloud Computing」という言葉である。
クラウドコンピューティングなる言葉の原点
米グーグルのエリック・シュミットCEOが「Cloud Computing」の名付け親と見られる
この言葉をGoogleニュースで検索してみると、100件以上がヒットする(ちなみに8月29日現在、「どげんかせんといかん」は5件であった)。しかも「Web2.0」のほうは、ITニュースサイトなどでは、もう時代遅れな言葉として、ほとんど嘲りの対象になってる。それに対して、「クラウドコンピューティング」はいまだホットで現在進行形な用語らしい。
たとえば、8月20日付で「デルとFacebook、クラウドコンピューティングでまもなく『重大』発表か」という記事がある。事前報道の見出しに使っても恥ずかしくない言葉なのである。
この言葉は、すべての言葉と同じように一人歩きし、いろんな人が様々な解釈によって利用している。だが、その原点を突き止めるのはわりと簡単だ。公の場では、米グーグルCEOのエリック・シュミットが2006年8月の「サーチエンジン戦略会議」で使ったのが最初と見られる。今のところ、それより前にはさかのぼれない。
ウェブ上に公開されている議事録を読むと、シュミットCEOがどのような意図で「クラウドコンピューティング」なる言葉を持ち出したのかは、わりと明快である。
虎古田・純