週末に久しぶりに映画館に行こうかと思っているが、何を観たらいいのかよく分からない。そんな人にオススメなのが、プロの映画批評を集めたWebサイト「映画ジャッジ」。“男性のための映画批評”をコンセプトに掲げるユニークなレビューサイトだ。
「男性目線」を強く意識した映画批評サイト
プロの映画批評家の読み応えあるコラムが自慢
「映画ジャッジ」は福岡市のベンチャー企業・エモテントが運営する映画情報サイト。2006年12月の開設当初は「シネマオンライン」という名前で、映画の総合ポータルサイトを志向していた。しかし、サイトの個性を強く打ち出すために07年10月、映画の「批評」に的を絞り、名前も「映画ジャッジ」に変えて再出発した。
サイト内には、DVDレビューや業界人インタビューなどのコンテンツもあるが、目玉はなんといってもプロの批評家による新作映画批評だ。ユニークなのは、「忙しい男性のための映画批評」に徹していること。
「もともと会社のコンセプトが、男性に人生を楽しんでもらえるような商品やサービスを提供するというものだったので、映画ジャッジでも『男性目線』を強く意識しています」
と映画ジャッジ広報担当の松村拓幸さんは語る。
書き手は男性だけでなく、女性批評家のコラムも載る。だがそれも、「男性が女性をデートに誘うときの参考になるように」といった「男性目線」を考慮して書いてもらうようにしている。
100点満点で4点の評価もある「辛口批評」が人気
「僕の批評は前菜」と話す前田有一さん。「映画を見る前に読んでほしい」
ターゲットは男性。特に、仕事や家庭で忙しくてなかなか映画館に足を運べないような30代、40代のビジネスマンを想定している。
「月に1回あるかどうかという貴重な映画鑑賞の機会に、その人にとって最高の映画を見てもらいたい」
そんな狙いで、個性豊かな9人の映画批評家のコラムを掲載している。読者はこの中から、自分好みの映画批評を見つけられるというわけだ。なかでも人気なのが、歯に衣着せぬ辛口批評が冴える前田有一さんの「激映画批評」だ。
前田さんによれば、批評コラムは「映画の前菜」。週末の映画選びの参考にしてもらうとともに、前もって読んでおくと映画の満足度がアップする。そんな批評を目指している。
「悪いものは悪いとはっきり言って、下手に過剰な期待をさせない批評のほうが今の時代には合っている」
と前田さん。コラムには作品評価の点数がついているが、97点という高得点の映画があるかと思えば、4点しか与えられない作品もある。そのあたりの明快さが前田批評の魅力だ。
「物議を醸してでも映画に注目してもらうのが、批評家の役割」
ふだんは辛口の前田さんも「ダークナイト」には97点をつけた
だが、アイドル主演の映画をけなしたりすると、厳しい内容のメールが読者から届くこともあるという。でも、前田さんは気にしない。
「一番ダメなのは、何の反応もないこと。今は映画が多いから、公開されてもすぐに消えてしまう。そんな中で、物議を醸してでも映画に注目してもらうのが批評家の役割だから」
一方で、コラムを読んだ人から感謝の声が寄せられれば、やはりうれしい。
「前田さんの批評がきっかけで、映画鑑賞が2人の共通の趣味になりました。いい老後が送れそうです。ありがとう」
そんなメールがある老夫婦から届いたこともあったそうだ。今後も、年に2、3回しか映画館に行かないようなライトユーザーの裾野を広げていくこと目標に、忌憚のない批評を書いていくつもりだ。
ちなみに、2008年夏の映画のオススメは? そうたずねると、前田さんからは、
「バットマンシリーズの最新作『ダークナイト』がダントツでいい。特に男性にオススメ」
という答えが返ってきた。