読者のリクエスト「ぜひ8ミリ映写機を!」
幅広い世代から好評だった「紙フィルム映写機」
デジタルカメラ全盛の時代にどうしてこのようなアナログ製品をつくったのだろう。学研で「大人の科学」シリーズの開発に関わる前田保典さんは、
「以前発売した『紙フィルム映写機』がそもそものきっかけです。その際、読者の方々から『次はぜひ8ミリ映写機を!』というリクエストがあったんです」
と明かす。紙フィルム映写機は、紙で作ったフィルムを映写する簡易な装置。「8ミリフィルム」の"紙"バージョンのようなもので、8ミリ映写機の1年前に発売された。
「付録には『鉄腕アトム』や『のらくろ』の紙フィルムをつけたんですが、若い人は自分でイラストを描いたり、写真をプリントしたものを使ったりして遊んでいたみたいです。特に30代前後の若い女性に人気がありました」
一方、今から40年ほど前に「8ミリ」に親しんでいた60~70代の人たちや、子供のころに映像を見た記憶のあるその下の世代にとっては、「懐かしいな」という気持ちが強かった。そして、「8ミリ映写機」を熱烈にリクエストする理由には、以下のような事情があった。
「昔の『8ミリ映写機』は壊れやすかったんです。特に電球の寿命が短く、数十時間で切れてしまうという場合もありました。また、フィルムを動かすベルトも切れやすかった。ですので、フィルムは捨てられずに持っていても、映写できる装置はほとんどなくなっている、ということがわかったんです」