Aboutよりも即物的に「知」だけを共有する
「Knolの記事の書き方」の著者はグーグル社所属と記されている。
こうして見ると、記事の筆者を重視、尊重しながら、知識を共有していくのがKnolの方針のようである。「A knol is an authoritative article about a specific topic.」。これがサイトのキャッチフレーズだが、authoritative(信頼できる、権威のある)の多くは「筆者」制度に依拠するのだろう。
顔の見える著者がいる点では、ウィキぺディアよりも、About.com(日本ではAll About(オールアバウト)の名称で展開)に似ているかもしれない。Aboutでは、特定のジャンルごとにガイドがいて、専用のウェブページがあり、そこにガイド執筆のすすめサイトや記事が掲載される。一方、Knolでは記事(トピック)単位で集積、共有される。YouTube(ユーチューブ)の「動画」が「記事」に置き換わったようなイメージで、より即物的に「知」だけを共有することになる。
ただし、記事の著者に権威があるから、無条件にそれに平伏せよ、というのではない。記事に対して閲覧者の評価や、コメント、レビューといったフィードバックを導入して、より信頼性を高める工夫が盛り込まれている。
虎古田・純