「今回の結果は大成功だと思っています」
打ち合わせをする林教授(左)
ところが、林教授の感想は違った。「大成功だった」というのだ。戦績だけを見れば、「あの成績で?」と思ってしまうむきもあるかもしれない。だが、林教授にとってル・マンは「勝負の場」である同時に「教室」だった。
「レースのような極限状態の中では、座学で学んだ理論だけでは足らず、経験というものが大きな意味を持ってくる。真剣勝負の場に連れて行き、工学を別の角度から見る機会にすることが狙いだった。その点、今回の結果は大成功だと思っています」
参加した学生からも、「またとない経験をさせてもらった」「現場で初めて、教授に怒られたことの意味が分かった」などという声が聞かれたという。
肯定的な評価は、林教授や学生だけにとどまらない。大学チームとして世界で初めてル・マンに挑戦した意義は決して小さくなかった。
「主催者のACOにも『おめでとう』といわれましたし、海外のメディアは大変な熱狂ぶりで取り上げていました。フランスの新聞なんかは写真付の記事を載せたくらいです。とにかくすごく熱狂的でしたね」
モータースポーツと工学教育を結びつけ、サーキットを実験場とする。この新しい取り組みに対する海外メディアの反響は非常に大きかったようだ。