“世界で最もCOOLな都市”東京を舞台にしたオムニバス映画『TOKYO!』の完成記念会見が2008年7月2日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで行われた。会見には、3部作のうちの「TOKYO!<シェイキング東京>」を撮ったポン・ジュノ監督と主演の香川照之さん、蒼井優さん、加瀬亮さんらが出席。映画のテーマである「ひきこもり」について語った。
「ひきこもり」が似合う孤独な都市「TOKYO」
記者会見に登場したポン・ジュノ監督、香川照之さん、蒼井優さん
映画『TOKYO!』は、ニューヨーク、パリ、ソウルで活躍する3人の外国人監督が描く3部作の物語だ。『殺人の追憶』で知られる韓国のポン・ジュノ監督は、「ひきこもり」をテーマに撮影。10年間引きこもり生活を続けた男(香川照之)が、ピザを届けにきた美しい少女(蒼井優)との出会いで心がゆれる様を描いた。
映画のテーマ「ひきこもり」は東京のイメージなのか? そんな質問に対して、ポン監督は東京の“独特の空気感”を次のように表現した。
「たしかに、世界中どこの都市も“孤独”を抱えているが、東京の人々はさびしそうに見えるのに、さびしくないそぶりをみせる。例えば、電車の中や、定食屋で一人食事をするといった風景にあうとき、強くそう思う――それは、僕の思い込みかもしれないのだけれど。東京が持つそういった要素を極端に表現したいと思ったんだ」
「傷つきやすく繊細なイメージは、香川さんしかいない」
ポン監督は、10年間引きこもり生活を続けていた主人公に、香川照之さんを抜擢した。西川美和監督の映画『ゆれる』での香川さんの熱演に惚れ込み、「傷つきやすく繊細なイメージは、香川さんしかいない」と思ったという。
そんな香川さんは、ポン監督の映画『殺人の追憶』の大ファンだったというから、この仕事は「楽しかった」の一言につきる、と熱っぽく話す。撮影中は、あこがれのポン監督に映画のことについて質問攻めだったという。
ただ、香川さんには一つ納得がいかないことがあった。「ひきこもりをやらせたら、香川さんが日本一だろう」ということで主役に抜擢されたことに、ちょっぴり困ったという。
「俺の中では、加瀬がいるだろうと思ったんですよ。でもどうやら、同じ映画に出るらしいというので、じゃあということで俺が(やることにしました)」
一方、加瀬さんは「香川さんの“ひきこもりぶり”は日本一、いや世界一です」と、香川さんの演技を褒め称えた。
映画『TOKYO!』は2008年夏、全国の劇場で公開される。