1銘柄を大事に育てる「プレミア焼酎」
小牧醸造では「日本一早い」焼酎の醸造が始まった
数年前の焼酎ブームのころは、「芋」というだけで売れていた。しかし、今はちょっと違う。「芋焼酎の銘柄間の選別が進んでいる」と指摘するのは、日本政策投資銀行南九州支店(鹿児島県鹿児島市)が05年9月にまとめたミニレポートだ。
レポート作成にあたった同銀行の中村聡志さんが分析する。
「2002年から2004年ごろのブームでは、芋焼酎がいきなり話題になり供給が間に合わなかったことから、お酒の銘柄は問題にならずに『芋焼酎』ということだけで売れていました。その後、大手メーカーが供給力を強化したことと、在庫の取り込みが一巡したことで、銘柄による選別が始まり、訴求力が強い大手メーカーの商品が主に売れています。一方で、個性の強いお酒が人気になったこともあり、希少価値の高いプレミア焼酎も市場を形成しています」
薩摩酒造の「白波」や霧島酒造の「黒霧島」などの有名銘柄が売り上げを伸ばしている一方で、中小の蔵元が売り出している個性のある焼酎も人気だ。
なかでも、鹿児島県垂水市の森伊蔵酒造が造る芋焼酎「森伊蔵」は限られた本数を抽選方式で販売するため、入手が困難で「幻の焼酎」とも呼ばれる。同酒造の森覚志社長は人気の秘密について次のように語る。
「蔵元として思いますに、ひとつの銘柄を大事に育てていることが支持され、口当たりがソフト、ふくよかな芋本来の旨味を引き出し、呑み飽きしないキレのよい味に仕上げている為だと思います」
残念ながら、今後も増産する予定はないというが、酒質の向上は「貪欲なまで追究し続けます」とのことだ。