学校の新年度は4月から始まるが、酒造りの世界では7月から新しい年度がスタートする。その初日にあたる2008年7月1日、鹿児島県の小牧醸造では「日本一早い」焼酎の仕込みが始まった。数年前のブームをきっかけに全国にファンを広げた"庶民の酒"焼酎。そのトレンドを探ってみた。
ワインや日本酒をしのぐ「人気者」になった
入手困難なプレミア焼酎の代表格「森伊蔵」
もともとは九州の「地酒」にすぎなかった焼酎だが、04年ごろ沸き起こった焼酎ブームの影響で、全国各地に愛飲者が広がりつつある。帝国データバンクが08年3月にまとめた「焼酎業界の動向調査」によれば、06年度の焼酎の課税数量は100万1674キロリットル。04年度のピークからはやや減少したものの、日本酒を超える出荷量を記録している。
また、同調査の「消費者がよく飲む酒類」では、1位のビールに次いで焼酎が2位にランクインした。ワインや日本酒、ウィスキーよりも親しまれているようだ。
焼酎の醸造方式には複数回の蒸留を繰り返す「連続蒸留」と、1回しか蒸留しない「単式蒸留」がある。「連続蒸留」は低コストで大量生産できるが、蒸留を繰り返すため原料の風味が失われてしまう。一方の「単式蒸留」では、原料のもつオリジナルの香りや味を楽しめ、本格焼酎とも呼ばれる。
底堅い人気があるのは、サツマイモを原料に使って「単式蒸留」式で醸造された芋焼酎だ。醸造元によって味わいが異なるのも魅力の一つである。
3200種の焼酎を取り扱う焼酎専門店「焼酎オーソリティ 東京駅店」の飯島貴祐さんも「お客様の半分くらいは芋焼酎をお買い上げになります」と話す。最近では強い香りが特徴のいわゆる芋臭いタイプと、香りが薄く飲みやすいタイプが人気を二分しているという。