ミニノートPC「戦国絵巻」 国産「工人舎」は魅力乏しい

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   国内PCメーカーの「工人舎」が2008年6月24日、インテルの新型プロセッサ「Atom」を搭載した小型ノートパソコン2系統10モデルを発表。7月上旬に発売開始の予定だそうである。

海外メーカーとの価格勝負はせず

ワンセグが観られるSXシリーズは直販8万9800円~。
ワンセグが観られるSXシリーズは直販8万9800円~。

   この工人舎は、Eee PC(イーピーシー)の国内発売以前から、似たようなコンセプト――メール・ウェブ利用をメインに据えた低価格路線――のモバイルPCを出していた会社だ。

   Eee PCのようなブレイクに至らなかった最大の理由は価格面だろう。従来の国産大手メーカーにくらべれば割安だった10万円前後の価格は、Eee PCが約5万円で登場した後では影が薄くなった。ミニPC第2ラウンドとなる「Atom」で、どんな製品を出してくるのかが注目であった。

   今回、「KOHJINSHA モバイルノートPC」に新たにラインナップされた2シリーズの違いを大まかに書くと、「SCシリーズ」は、7型液晶で光学ドライブなし、駆動は3.2時間と短い。そのかわりに798gの軽量がウリの「ウルトラモバイル」。

   「SXシリーズ」は8.9型液晶にDVDスーパーマルチドライブ、駆動4.2時間。「ワンセグ・WEBカメラも搭載した究極のフルスペック」(同社オフィシャルサイト)だ。

   価格は前者が8万9800円~、後者が10万9800円~である。ITproが書いてるように、海外メーカーの「Atom」PCの国内販売の予想価格が5~7万円台程度なのに対して、高めの価格である。これまで低価格がウリだったメーカーだけに、大胆に価格を下げてくることも予想されたが、価格勝負を避けたというのは妥当な見方だと思える。では、それに変わるモノは何だろうか。

不格好で似つかわしくないワンセグ機能

軽量のSCシリーズにはGPS内蔵モデルが用意されている。
軽量のSCシリーズにはGPS内蔵モデルが用意されている。

   記事によれば、「機能面で(台湾メーカーとの)差異化を図る」のだという。その例のひとつとして挙げられているのがSXシリーズの「ワンセグTV視聴」。たしかにワンセグ機能は国内メーカーならでは、である。グローバル展開する海外企業が日本独自のワンセグのためにカスタマイズ製品を出すとは、現状、考えづらいからだ。工人舎はワンセグ搭載に積極的で、過去の製品でも上に突きだしたアンテナがアピールしていたものだ。

   しかし、伸ばしたアンテナの見た目が不格好なのは置くとしても、メール・ウェブ中心の小型軽量低価格PCでテレビが見られることはたいして有り難くない。筆者の経験では、パソコンよりTPOが自由なワンセグ付き携帯電話でも、テレビが見られてよかったと実感したのは、せいぜい年に一、二度といったところ。筆者の目には、このワンセグはミスマッチなおまけに映る。

   この製品に限らず、ワンセグの物珍しさも手伝ってか、携帯電話、パソコン、電子辞書まで搭載ブームになってしまった。一通り行き渡った今、ありとあらゆる携帯電子機器でユビキタスにテレビが見られる意味は何なのか――消費者、メーカーとも立ち止まって考えてみる時期ではないだろうか。

地味なプラスポイントはあるが…

   前述の記事では、その他の機能的「差異」として、ディスプレイ部への2軸ヒンジ採用、ExpressCardスロットの搭載などが挙げられている。そのほか、「Atom」のなかでもSilverthorne系の「Atom Z520」(従って「ネットブック」ではない)を採用、液晶パネルはNEC液晶テクノロジー製、台湾メーカーの液晶とは品質が違うという。

   これらは筆者にとって、ワンセグよりはプラスポイント。でも、地味で購入の決め手になるほどではない。総じて、海外メーカーの「低価格」と国内大手メーカーの従来型「高性能・多機能」製品の間で、魅力に乏しい。「国産(国内メーカー)」であることの意味が希薄な製品といった印象を持ってしまった。

   ところで、以前の当欄でも紹介した日本ヒューレット・パッカードの低価格ノート「HP 2133 Mini-Note PC」(実売約6万円~)が、奇しくもSC、SXシリーズ発表と同じ6月24日に発売を開始した。同社のオンライン販売では予想を大幅に上回る注文が入ったため、販売を一旦打ち切るなど、大好評を博したとのことだ。さて、工人舎の新モデルは7月にどんな反応で迎えられるだろうか。

虎古田・純

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