無印の「なるほど」はアートに一脈通じる
無印良品の開発背景がわかる「無印良品の理由(わけ)」
そして1年。無印良品から「無印良品の理由(わけ)」という本が2冊登場した。無印の7500点(!)の商品の中からピックアップされた商品の開発理由が紹介されている。深澤直人さんのデザインによる壁掛式のCDプレイヤーも登場している。電源コードを引くオン/オフというのは、音楽を聴くぞと身構えるのではない、音楽との付き合い方を感じる。まさに無印らしさがここに紹介されている(この本こそまさに、なるほど無印良品)。
深澤さんもその1人だが、無印らしさの奥にはデザインを熟知したアドバイザリーボードがいる。小池一子、麹谷宏、杉本貴志、天野勝、原研哉、山本耀司と錚々たるメンバーだ。無印らしさは、ちょっとやってみました、という気分のものではなくきちんと推敲されたものなのだ。
ちなみに無印良品では2008年6月13日から23日までを「無印良品週間」としている。無印良品のものづくりの取り組みを知ってもらおうという期間だそうだ。見つめればわかる「なるほど」を手前に引き出して、商品の前に「なるほど」を陳列しているわけだ。
店舗でもわかりやすく、ひとつの棚にひとつの「なるほど」が置かれているし、ウェブサイトでも「なるほど無印良品」というコーナーが立てられている。見れば、ああそんなこと、なのだけれど、それを見つけ出すのは大変な努力だ。ちょっと店を覗いて、なるほどを感じるのも楽しいかもしれない。
金井さんはウチはアートはしないですよ、とおっしゃるけれど、無印のなるほどはアートに一脈通じるものがある。それもこのアドバイザリーボードのなせる技なのかもしれない。
坂井直樹