動画投稿サイト「ニコニコ動画」から生まれた名曲がCDとして全国発売され、オリコンチャートにランクインした。これまで音楽業界にデビューしようと思ったら、オーディションを受けるか、デモ音源を送るか、コネに頼るぐらいしかなかった。しかし、ニコニコ動画という巨大な「表現空間」の登場で、新しい道が開けつつある。
45万回以上再生された「歌に形はないけれど」
「歌に形はないけれど」のCDジャケット。権利関係に配慮して初音ミクのイラストは使われていない
YouTubeと並んで人気の動画投稿サイト「ニコニコ動画」。さまざまな動画が投稿されているが、最近目立つのが「初音ミクオリジナル曲」と呼ばれる自主制作作品だ。これは、自分で作詞・作曲したオリジナル楽曲を音声合成ソフト「初音ミク」に歌わせて録音し、ニコニコにアップしたものである。
曲のジャンルやクオリティはさまざまだが、人気作品になると、何十万という再生回数を記録することもある。07年9月に投稿された「みくみくにしてあげる♪」は再生400万回以上(08年6月現在)という驚異的なヒット作となり、着うたやカラオケ、CDという形で商品化された。
2008年6月11日にCDが全国発売されたバラード「歌に形はないけれど」も、そんな初音ミクオリジナル曲の一つだ。08年1月にニコニコ動画に投稿されると、美しいメロディと透明感のある歌詞が評判になり、45万回以上も再生されることになった。
「ミクの曲は、『みくみくにしてあげる♪』のようなノリのいい曲が良いのかと思っていたので、再生数がどんどん伸びていったときには、とてもびっくりした」
と作詞・作曲をしたdorikoさんは振り返る。