パソコン用のマウスが小型掃除機にもなる「USB掃除機マウス」や、送風ファンが組み込まれていて夏場も快適に過ごせるという「USBネクタイクーラー」。常識人には想像すらできないアイデア商品、キワモノ商品を次々と世に送り出しているユニークなオンラインショップがある。秋葉原のパソコン周辺機器メーカー「サンコー」が運営する「レアモノショップ」だ。
社員の「困った経験」がアイデアの源泉
マスクにファンがついている「USBスッキリマスク」。インパクトが強烈だ
「レアモノショップ」の開設は2003年。PC関連機器の輸入販売会社に勤めていた山光博康社長が独立してオンラインショップを立ち上げたのが始まりだ。
「勤めていた会社が取り扱っていたありきたりな商品ではなく、面白い商品を販売したいという思いをこめて『レアモノショップ』と名づけました」
05年からは秋葉原や池袋、日本橋(大阪)で、実店舗も展開。当初は30代~40代の男性の購入が多かったが、最近では秋葉原の店舗は観光客が目立つようになったという。池袋ではカップルの来店も多いなど女性客も増えている。
サンコーのユニークな商品は、毎週1回開かれるミーティングから生まれる。7~8人の社員がアイデアを最低1つ出して、議論する。社員の「困った経験」をもとに企画した商品ほどヒットする傾向があるという。
ベッドに寝転びながらノートパソコンが使える机
寝転がってパソコンを使える便利な「ゴロ寝deスク」
使用シーンに合わせて、天板の高さと角度を調節できるパソコン用デスク「ゴロ寝deスク」も、そんな「困った経験」から生まれた商品の1つ。ベッドに寝転がった姿勢でも楽にノートパソコンを使えるという便利グッズだ。
「ソファに座ってノートパソコンを使うことが多かったのですが、私自身、腰が悪いのでちょっと無理な姿勢になることが多かったのですね。それに、ひざの上でノートパソコンを使うと安定しないし、放熱で熱いので使いにくい。そこでベッドで使えるデスクがあれば便利だと思いました」
という山光社長の発想から商品化。今では、シリーズ合計で3商品を展開している。社長にとって「一番思い入れが強い商品」だ。
ほかにも、パソコンに接続してラジオ番組を録音できる「USB AM/FM RADIO」(07年5月発売・6980円)など、「こんな商品あったらいいな」を実用化して、消費者のニッチなニーズにこたえている。
発売時に「どうかな?」と思っても、ある程度売れる
サンコーの山光博康社長
一方で、「こんなの買う人いるの?」と思うような「キワモノ商品」もある。たとえば、小さな掃除機を組み込んだ「USB掃除機マウス」(08年2月発売・1980円)や、人力で充電できるMP3プレーヤー「CRANKING MP3 PLAYER」(08年3月発売・5980円)などだ。誰がどういう場面で使うのか想像がつかない。
しかし、山光社長に動じる気配はない。
「ニッチだけど需要はかすかにあります。発売時に『どうかな?』と思う商品でも、ある程度売れます」
そのほか、マスクに小さなファンがついていてマスク内部の蒸れを解消してくれるという「USBスッキリマスク」(08年4月発売・2480円)や、ファンを組み込んだネクタイ「USBネクタイクーラー」(07年8月発売・2980円)などもある。
たしかに便利なのかもしれないが、実際に使うのには相当な勇気がいりそうだ。それでも「USBネクタイクーラー」は夏場に多く売れているという。
今後の展開について、山光社長は、
「パソコン絡みのグッズや新しい電化製品に関係するもので、社員が実際に困っていることを解決する商品や、欲しいと思う商品を販売していきたい」
と話している。